セレブ王子 ページ45
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あれから数日、相変わらず京極兄弟はウチの学校へ頻繁に足を運んでいるらしいが、あれから京極竜には出会っていない。
それがどこか寂しいような、物足りないような気がするのはきっと何かの間違いだろう。
学校から帰り、冷蔵庫を開けて空っぽになっているのを見た途端、何もする気にならなくなってしまった私は近くのコンビニへと向かった。
1人暮らしをしていれば、きちんとしていてもたまには手を抜きたい日もある。
そんな時によく利用している近くのコンビニはよくネクスト4人でも来ている。
ただのコンビニ。
...だが、今日は違う。
コンビニに似つかわしくない、高級車...俗に言うリムジンと言うものが停まっている。
A｢...ケチなセレブか？｣
なんて、失礼なことを考えてみる。
｢誠一郎、この箱は？！｣
白い制服を身にまとった長身の茶髪が興味津々に黒髪メガネに聞く。
｢奏、それはただのゴミ箱だ｣
そう、彼が目を輝かせながら見ていたのはただのゴミ箱。
金持ちはそんな物さえも珍しいのだろうか。
｢あ、ごきげんよう！｣
私がそそくさとコンビニへ入ろうとすると、そう聞こえてきた。
周囲を見渡してもそこには私だけ。
A｢ご、ごきげんよう...？｣
あまりにも目を輝かせながら見てくるので、思わず同じように挨拶をしてしまった。
｢あの、良かったらお買い物されているところを拝見させて頂いてもよろしいですか？｣
A｢え？！｣
これまた興味津々に、目を輝かせながら言うものだからビックリして我ながら可愛げのない声が出てしまった。
｢おい奏、いくらなんでも女性にそんなお願い失礼だろ｣
｢だって...｣
きっとセレブだから私たちの中の当たり前が、彼にとっては新しい発見なんだろうな...。
黒髪メガネくんに怒られ、わかりやすく落ち込んでいる茶髪の彼。
A｢あの...｣
｢すまなかった、奏が失礼なこと...｣
A｢いや、そうじゃなくて... 大したもの買うわけじゃないですけど良かったら一緒に来ます？｣
｢本当ですか？！｣
私の言葉に顔を勢いよく上げた茶髪の彼。
...うん、犬だな。
｢申し遅れました、朱雀奏と申します｣
｢...久遠誠一郎です｣
朱雀奏さん...。
一般庶民の私でも知ってる。
あの朱雀グループの御曹司。
そしてその隣の久遠誠一郎さんは第1側近。
A｢藤井Aです｣
...何だか凄い人達と関わってしまったな。
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作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年3月2日 9時
