手当て ページ43
-A side-
竜｢いってぇ...｣
A｢ごめん、少し我慢して？｣
あの後、帰ろうとする竜を引きとめて部屋に上げた私は、慣れない手つきで手当てをしていた。
竜｢...悪かった｣
A｢え？｣
竜｢俺がアンタをもう少し早く見つけてたらこんな怖い思いさせなかったのにな｣
A｢...私の方こそごめんなさい｣
竜｢何が｣
A｢巻きこんでしまって...それに怪我まで...｣
そう言って俯くと顎をクイッと持ち上げられ、顔を上げさせられる。
竜｢アンタは怪我ねぇの？｣
A｢う、うん...平気...｣
あまりの近さに返事さえも詰まってしまう。
それと同時にまだ男達に掴まれた時の感覚が残っている右手をそっと隠した。
でもそれを見逃さなかった彼は私の右手を掴んだ。
竜｢...赤くなってんな｣
そう言って私の手をさする。
...なんて言うか、いつもと違いすぎて気恥ずかしい。
そう思っていると、後ろから勢いよく腕を引かれ、そのままその人の腕の中に納まった。
海司｢...Aに気易く触んないでもらえます？｣
そんな海司に京極竜はいつもの不機嫌そうな表情に。
海司｢A、何があったの？｣
A｢え、っと...｣
心配かけたくないから言いたくないのに、私にそう問い詰めてくる海司。
海司｢A、教えて｣
A｢...｣
海司｢A!!!｣
竜｢おい、やめろ｣
何も話さない私に痺れを切らしたのか、海司が私の肩を掴んで大きな声を出す。
海司｢ヤンキーには関係ないから｣
竜｢あ？｣
海司は京極竜に慣れたのか、
それともイラ立ちが勝っているのか、
いつもはビビっているのに今日はお互いに睨み合っている。
A｢海司ごめん、今はまだ話したくない｣
海司｢でももしまたあんな事が...｣
A｢私は大丈夫、強くなるって決めたから。
京極竜も...次から次へとごめん。
でも海司は私を心配してくれているだけだから｣
竜｢けど...｣
A｢私なら大丈夫、寝れば忘れるから｣
そう言って笑うも腑に落ちない...という顔の2人。
海司｢Aが言うならこれ以上聞かない。
でも無理だけはしないこと、いい？｣
A｢ん、分かった｣
竜｢じゃあ俺帰るわ、
A｢ほんとごめんね、気をつけてね｣
海司｢俺も帰るけど平気？｣
A｢平気、ありがとう｣
私がそう言うと海司達は私の家をあとにした。
A｢...強く、なれるかな...？｣
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作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年3月2日 9時
