恐怖 ページ42
-竜 side-
今日は兄貴が別の用事があるとかで、１人街をふらついてる時だった。
目の前にガラの悪い男連中がいてその中に女が１人いた。
竜｢...は？｣
その女は俺の知ってる女で、目を疑った。
だけどそのまま路地に連れて行かれてしまって慌てて追いかける。
さすがのあいつも男相手じゃいつもの強気な性格を発揮することは出来ず、小さく震えて覚えていた。
竜｢女１人に男５人なんてズルいんじゃねぇの？｣
そう言うと男達はもちろん、アイツもしっかりと俺を見る。
｢俺が合図するまで目と耳塞いどけ...絶対開けんじゃねぇぞ？｣
普段あんなに強気で突っかかってくるけど、多分殴り合いの喧嘩なんて見ることさえ慣れてないだろうし、何よりも俺自身がそんな姿見せたくなくてそう指示した。
Aは怯えた表情を見せながらも俺の言い付け通り、目を耳を塞いだ。
それを合図に男達に殴りかかる俺。
人数が多いってだけで実際は大したことなく、あっという間に片付いた。
周りに倒れている男達をまたぎながらAの元へ行くと、小さく震えていた。
そっと耳を塞いでいる手をどけると、奴らだと思ったのか抵抗する。
だけど俺だと分かった瞬間、安心したのか涙を流した。
Aをおぶって家まで送ると、いつも一緒にいる金髪に出会った。
Aの事が好きであろうコイツは俺をスゲー睨んでくるけど、俺が助けたことを知ると驚いた表情を見せる。
A｢...ありがとう、もう大丈夫だから降ろして｣
そう言われて素直に下すと、まだフラついていて、金髪が慌てて駆け寄りAを支える。
竜｢じゃあ、俺はこれで...｣
あとは金髪に任せて帰ろうと2人に背を向けると、
A｢待って！｣
そう言って俺の腕を掴んで引き止めるA。
その手はまだ微かに震えていて、Aにはかなり怖い思いをさせたな...。
そう思う反面、もう少し早く見つければここまで怖い思いしなかったんじゃないかと自分を責める。
A｢怪我してる...｣
竜｢別にたいしたことじゃ...｣
A｢部屋来て...手当させて｣
竜｢別に慣れっこだし手当なんて...｣
A｢...お願い｣
縋るように見つめられて渋々頷くとAは俺の腕を引きながらマンションへと向かって歩き出す。
もちろん後ろからは殺気を隠すこと無く、金髪がついて来る。
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作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年3月2日 9時
