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不安 ページ29

-A side-


京極竜を生徒会室に案内した後、急いで保健室に向かう。


A「...っていないし」


保健室を覗いたがちょうど戻った後だったらしい。

とりあえず教室に戻ろうとするとちょうど近くの階段に3人がいた。


A「こんなとこにいた...」

海司「...A」

A「光輝、大丈夫?」


まだ痛そうに押さえてる光輝の手の上に私はそっと手を添えた。


光輝「あぁ...アイツ強すぎ...」


そう呟く光輝。

これまで果音さんを守るために鍛えてきたのに、ここで負けてちゃ意味がない。




光輝「...けど、許せねぇよ」

陸「果音さんにキス...」


まぁ、他人のキスするとこなんてそう滅多に見るもんじゃないから...。

しかも年頃の男子だから余計なのか...小さく呟く陸。


その言葉にまだ痛いはずなのに光輝は勢いよく立ちあがる。


A「ちょ、ダメだよ...」

光輝「あれはキスじゃねぇ...果音さんは唇殴られたようなもんだぞ?」


確かに好きでもない男にいきなりキスなんて...愛も何もないわけだし。

そう考えれば暴力も同然、か...。


光輝「...誰にも果音さん、渡さねぇし」




もしこれが果音さんじゃなく、私だったら...光輝は今みたいに助けてくれた?


...なんて昔の頃考えても意味なんだけど。


A「...ッ...」


昔の頃を思い出すと今でも怖くなる。

思い出したくないのに...光輝が果音さんを想うたび...、

もしそれが私だったら...そう比べるたびに思い出す。


海司「...A」

A「...ごめん、海司...」


私の様子に気付いた海司がそっと近くまで来てくれて、小さな声で話しかける。


海司「陸、光輝よろしく」

陸「は?」

海司「光輝もまた明日」

光輝「え?」


海司は私の背中を押してその場を抜け出す。


テキトーな空き教室に入ると海司は私を椅子に座らせて手を握ってくれる。




海司「A、今Aの目の前にいるのは俺だから」


そういうと私を強く抱きしめて背中をさすってくれる。


光輝も陸も知らない...海司だけが知ってる私の過去。



A「...海司」

海司「大丈夫だから」


それからしばらく立ってようやく落ち着いた私。


海司「行ける?」

A「...ん、ごめんね」

海司「別に俺は...」

A「ダメだね、こんなんじゃ...海司にも迷惑かからないように強くならなきゃ」

海司「...んなこと言うなよ」

A「...海司」

海司「...帰るか」

A「うん...そうだね」

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作者名:ちゃそ | 作成日時:2019年3月2日 9時

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