あの人の存在 ページ3
.
A｢...光輝、早い｣
あの後、急激に急かされた私は早急にメイクとヘアセットをして、制服に着替えた。
そして今は、学校へ向かう途中。
光輝｢遅いよ、もっと早く歩いて!!!｣
なんて言う光輝は私の手を引いて...。
いや、引いてなんて優しいもんじゃない。
私の手首を掴んで強制的に引っ張られている。
A｢...手、痛いし｣
光輝｢ごめん、でも我慢して!!!｣
そんな私達の後ろを、海司と陸が苦笑いしながら歩いている。
光輝がこんなに急いでいる理由。
それはあの人……。
私がこの世で1番苦手であろう“成瀬果音”さん。
一応先輩だし、
そもそもそんなに関わったことは無いけど私は彼女が苦手。
だって……
光輝｢もう、果音さんに会えなかったらAのせいだからね!!!｣
彼女がいれば、私は光輝の視界に入れないから。
いつだって光輝の隣は私だった。
それなりに光輝にも彼女という存在がいたこともある。
だけどそんな存在がいても、いつだって私を優先してくれていた。
なのに...
__ ねぇ、A
__ ん？
__ 俺、強くなる
__ は？いきなりどうしたの？
いきなりの宣言に、何の影響だろうと思っていた私。
だけどその後に返ってきた言葉...
__ 俺、守りたい人が出来た
それはもう頭を鈍器で殴られるくらいの衝撃だった。
そう言い始めたのは中学生の頃。
さすがに直ぐ飽きるだろうと思っていたが、光輝は真剣で...。
__ 俺、高校は聖ブリリアント学園に行く
嫌だった。
いつか光輝が離れて行くんじゃないかって怖くて...。
でも私は光輝を止める術など知らない。
いや、私が光輝を止める権限なんてなかったんだ...。
心ではどう思おうが、
私が光輝にずっと想いを寄せているように
光輝が誰を想おうがそれは光輝の自由だと、
痛いくらい分かっていたから。
そんなことを考えながら進んでいると、突然止まった光輝に気付かず、その背中に激突する。
A｢...ぎゃ!!!｣
陸｢大丈夫？ｗ｣
海司｢今の声、可愛く無いｗ｣
そう笑う2人。
A｢っるさい!!!｣
2人に一喝して、急に立ち止まった光輝を見れば一点を見つめていた。
その視線の先には...
光輝｢……果音さん｣
彼女がいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 792人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年3月2日 9時
