成瀬果音と学園のマドンナ ページ6
-結城 side-
僕は美しいものが好きだ。
僕は生まれてこの方、
《赤ちゃん王子》
《神童王子》
《かけっこ王子》
《ミスター王子》
《丸の内王子》
数々の王子の称号を手にしてきた。
この顔に生まれ、この顔を見て育ったのだ。
それは自然の摂理といえるだろう。
美しい彼女と結婚したら僕は
《ナイスハズバンド王子》
そしていずれ
《グッドダディー王子》と呼ばれるだろう。
あと僕に足りないのは《伝説の王子》という称号。
それを勝ち取るためにこの学園に教師としてやってきた。
ところが最近、強力なライバルになりそうな王子たちが次々と学園にやってきた。
だが、彼らの目的は"伝説の王子"ではなく、２人の女子生徒だった。
"美"に厳しい僕の目から見ても心から美しいと思える学園のマドンナ・藤井A。
彼女に関しては何の問題もない。
ただ問題なのはもう１人の方で、
"なぜ王子たちはあんな普通の子を？"と思うような子だから不思議で仕方ない。
だが"伝説の王子"レースのライバルにならないでくれるなら僕的にはラッキーだ。
感謝しかない。
ありがとう成瀬。そして、ありがとう藤井。
結城｢先代の皆さん...僕が後に続きます｣
それから数日、何やら急いだ様子で理事長の秘書・服部さんが資料を持って理事長室へ入って行った。
気になった僕は少し開いたドアから聞き耳を立てていた。
服部｢理事長、成瀬果音と藤井Aについての調査結果が上がってまいりました｣
理事長｢見せてください｣
服部｢取り急ぎ結論だけ申し上げますと２人とも伝説の王子選手権の切り札として使えます｣
理事長｢それは朗報ですね｣
結城｢どういうことだ？｣
どうしても納得のいかない僕は理事長達の話を聞かぬまま、資料室へ急いだ。
藤井A。
チームネクストの１人で学園のマドンナ的存在。
見た目も美人で、内面も問題なし。
結城｢それにしても美しい...｣
ただ問題なのはそこじゃない。
結城｢成瀬...あっ！｣
やっぱり顔は普通...、普通だよな、うん。
貧乏で不幸と言うこと以外、特に目立つことも何もない。
なのに、なぜ王子達は彼女までもを追いかける？
いや、そんなことよりなぜ２人が王子選手権の切り札なんだ？
成瀬は特に何のとりえもなく、普通...よりは不幸な生活をしている。
一方の藤井は幸せではあるが王子選手権に興味はないだろう...。
結城｢...本人達と話してみるか｣
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作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年4月21日 20時
