I fell in love with you. ② (ページ11)

今日:8 hit、昨日:18 hit、合計:428,009 hit

謎な男ページ11

.

光輝｢おい、特別だぞ｣

少し歩くとそんなこと言い出した光輝。

竜｢何が？｣

光輝｢仕方なく果音さんの片手貸してやってんだからな｣

竜｢は？コイツ、お前んじゃねぇだろ｣

光輝｢果音さんの事"コイツ"とか言うなよ｣

竜｢うっせ...っていうか、俺は兄貴の代理だし｣

...何だろう。

果音は痴漢から守ったし、あの男も捕まったし、
もう何も心配することはないはずなのに...

...モヤモヤが取れねぇ。

なんかこう...嫌な予感がするって言うか...。

光輝｢ねぇ、なんか歌おうよ｣

しばらく、全員黙って歩いているとそんなこと言い出す光輝。

竜｢...何だよ、急に｣

光輝｢｢ある日～♪｣｣

俺の言葉に返事をするわけでもなく、勝手に歌い出す光輝。

竜｢｢ある日～♪｣｣

きっと光輝なりに果音の中の不安を飛ばそうとしての事だろうと思いノッてやったのに、

光輝｢歌うんかい！｣

結構ガチトーンでツッコんでくる光輝。

竜｢いやお前が歌うっつったんだろ｣

そう抗議すると小さく笑った光輝はまた歌いだした。

光輝｢｢森の中～♪｣｣

竜｢｢森の中～♪｣｣

光輝｢｢熊さんに～♪｣｣

竜｢｢熊さんに～♪｣｣

光輝｢｢出会った～♪｣｣

竜｢｢出会った～♪｣｣

光輝｢｢花咲く～♪｣｣

光輝・竜｢｢森の道熊さんに出会った～♪｣｣

男子高校生が女子高校生を間に挟んで童謡を歌うある意味カオスなこの状況に果音の笑顔が戻ってきた頃、

『果音！』

誰かが果音を呼ぶ声がした。

声のした方を見ると果音の住むアパートの前に座り込む大人の色気っつーもんを無駄に駄々漏れにした男がいた。

俺らが立ち止まると逆に近づいて来る男は、果音の手を握る俺と光輝の手をふり落し、

『おかえり』

そう言って果音を抱きしめようとする。

それに戸惑う果音を見ればそう言う関係ではないことは一目瞭然で、

竜｢誰だよ｣

『あぁ？』

さっきの事もあって思わず果音と男を引き剥がす。

すると、

『あ、前髪長い。爪も汚ぇ。ヤンキー臭強すぎ』

そう言っていきなり俺の身だしなみチェックを始めた。

そうかと思いきや今度は光輝の方へ振り返り、

『前髪想い、カラー浮いちゃってる、ネクタイ緩めすぎ』

今度は光輝の身だしなみチェックに入る。

そのまま光輝から果音の鞄を取り、果音の肩を抱き寄せ歩き出す謎の男。