可愛い弟 ページ2
-尊人 side-
帰宅早々、朱雀奏が果音と同じ学校に転校してくると報告にきた竜。
尊人｢てか、何で竜がそんなこと知ってんだよ｣
竜｢あぁ、こないだ手懐けといた光輝が教えてくれた｣
尊人｢ｸｿ...アイツ真似しやがって...｣
竜｢それから一応お知らせ｣
そう言って竜は自分の携帯の画面を見せてきた。
その光輝とやらのトーク画面。
尊人｢これから俺が果音さん守るんでよろしく...
...何だコイツ、生意気だな｣
竜｢キャラ変したらしいよ｣
そう言って楽しそうに笑う竜。
尊人｢まぁ、負ける気はしねぇけどな｣
竜｢勢いはあるぞ｣
尊人｢余裕、余裕｣
だけど、そんなこと以上に気になるのはその下。
"ちなみにAも俺にとってはかけがえのない大切な人だから泣かしたら許さないんで"
その言葉と一緒に添付された光輝とAちゃんの写真。
別に俺らが争ってんのは果音だけだし、
まぁ確かにあの子もなかなかの美人だけど俺は果音だけ。
それなのにどこか挑発的で、
見せつけるかのように必要以上に密着した写真...。
尊人｢っていうか、果音に会いてぇな...｣
別に弟の事に口出す気はない。
そう思って果音の事だけを考えようと思って自然に出た言葉。
尊人｢果音...いねぇよな...｣
そう呟きながら家の方に向かって歩く俺。
ガキの頃からずっと俺にくっついて歩いている竜。
それはもちろん今でも変わらなくて、常に俺に甘えている。
この時も俺のすぐ後ろを歩いていると思ったのに、
尊人｢...あれ？｣
後ろからは足音もしなければ、人の気配さえもない。
不思議に思って振り返ると、
竜｢...｣
何とも言えない表情で携帯を見ている竜。
その顔はツラく苦しく、何かを我慢しているようにも見えた。
尊人｢ったく...｣
家に向かっていた足をもう一度竜の方へ向け、歩く。
尊人｢家、入んぞ｣
そう言って竜の肩を組む時に見えた携帯の画面。
尊人｢...好きなの？｣
竜｢は？！｣
竜が苦しそうな表情で見ていたのは先ほどのカップルと言われれば信じてしまいそうなほどの仲のいい写真。
竜｢ばっ、バッカじゃねーの？！何で俺が...｣
俺の言葉に分かりやすく動揺する竜。
尊人｢ふ〜ん｣
竜｢...んだよ｣
尊人｢別に、可愛いし美人だからモテそうだよね｣
意地悪でそう言ってみたらこれまた分かりやすく顔をゆがめた竜。
尊人｢...やっぱ好きなんじゃん｣
本当、イジりがいのある可愛い弟だわ。
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作者名：ちゃそ
| 作成日時：2019年4月21日 20時
