Prince of Vampire 7 (ページ33)

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「…最初に言うとくけど、俺噛む癖あるから。

…本能的に。」

…ああ、血ではなく肉を求める、
そう言いたいのかな、

ふと、顕嵐と海斗が気にしていた、紫耀くんの素性がよぎった。

その瞬間、紫耀くんの眉間に皺が寄る。

「……っ、」

「…紫耀くん？」

驚いたような反応だけど、その視線は私の首筋ではなく、どこも捉えていない。

一瞬何かを噛み締めるように目を閉じると、その後、紫耀くんの視線はドアの方へ向けられた。

もしかして。
海斗が帰ってきたとか。

私は感じないけど、
紫耀くんは気配で分かるはず…？

「…邪魔くさ。」

睨むような嫌そうな顔。

ガチャ、

ドアの開く音がした。

「紫耀。」

入ってくるや否や、

この部屋の住人を呼ぶ声がするけれど、

それは海斗の声とは違った。

紫耀くんは背後を確認することなく、

「…よくここまで来たな、しかも勝手に。」

さっきの何倍もの冷たい表情で呟いた。

紫耀くんの影に隠れて、私には姿が見えない。

紫耀くんは素早く、私のキャミソールを捲られた位置から降ろし、
脱いだばかりの自分のシャツを、私の上半身を覆うようにかけた。

そして跨っていた位置から退くように降りる。

「何しに来たん。」

紫耀くんはそのままベッドから降りた。

すると、ようやくその相手の姿が確認出来る。

目が合ったのは、
私たちと同い年くらいの若い黒髪の男の子。

「え、取り込み中やった？
まじごめん。」

その男の子は、私の姿にごめんと言いつつも、ケラケラと笑った。

「…紫耀、ついにちゃんとした彼女出来たん？」

凄く珍しいものを見たような顔だった。

「…なんやねんもう、わざわざロスにまで何しに来たん。」

さっきとは比べ物にならないくらいイライラしていて、上裸のまま、頭を掻く紫耀くん。

「まあまあ。あんな、」

とその子が話し始める前に、

「あのさぁ、この子に服着せたいから一回出てってくれへん。」

紫耀くんは近くにあったTシャツを拾うと、一瞬でかぶり、

その男の子を引っ張りながら廊下へと出て行った。