Prince of Vampire 7 (ページ30)

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# me

諦めたくはないけれど、なんとなく今日の紫耀くんは、雰囲気が違った。

こないだ、海斗も部屋にいる中、演技で私を押し倒した時と違って、どことなく本気を漂わせる。

とりあえず一回だめって言ったけど、退いてくれない。

こういう時って、どうしたらいいの？

説得しようとする自分はバカなのかな？

走って逃げれば、流石に殺人犯とかじゃないし、止めてくれる？

大声？

でも、大事にしたくないとか色々考えて、引き伸ばすことしか出来ない。

"ほんとに心配"

顕嵐に言われたセリフが脳にこだまする。

私の思いとは裏腹に、紫耀くんの手は進んで行き、
カーディガンだけでなく、中のブラウスのボタンに手がかかる。

一つ、二つ外される。

顕嵐と違ってこのタイミングでキスをしてこないのは、自分の彼女じゃないから？

好きじゃない相手だから？

よく分からない。

表情を窺おうと顔を見つめる。

ふと、目が合う。

彫刻のような彫りの深い顔立ち、
崩すことない冷たい真顔。

何も言ってくれない。

…好きな恋人以外とそういうことするってどういう気分なんだろう？

気持ち良いとか紫耀くんは言うけど、
それが全て？

でも、目の前の紫耀くんのことよりも、今一番頭に浮かぶ存在。

「…紫耀くんごめん。」

ボタンを全て外され、
キャミソールの裾に手をかけられた瞬間、

ようやくその手を掴み止めた。

「…別に紫耀くんが嫌いとかで拒否したいわけじゃない。

でも、顕嵐が知ったら悲しむ。

私顕嵐が大事なの。

紫耀くんは、カッコ良いよ、

だから私以外の女の子は、紫耀くんとそういうことしたい子たくさんいると思うけど、

私の場合は顕嵐を傷つけるから、出来ない。」

淡々と、だけど誠心誠意、告げたつもりだった。

紫耀くんの手は止まったまま。

少し目を細め、何かを感じている様子。

「…ほんまそれ。
それやから奪いたくなるねん。」

紫耀くんが小声で呟いた言葉が、胸に刺さる。