Prince of Vampire 7 (ページ29)

今日:22 hit、昨日:0 hit、合計:289,386 hit

349 ページ29

「…え、だめ、」

ようやく事態に気付いて動揺し始めた様子。

でも宮近は今日はほんまに、だいぶ先にならないと帰らへんから、助けには来ない。

無言のまま、後ろからカーディガンのボタンを外す。

「え、本当にするの？
今、ここで紫耀くんと？」

…なんやねんソレ。

俺とAちゃん以外にここに誰がおんねん。

さっきから言ってるやん。

ええからさっさと俺に流されて。

「…もう大人やねんから分かるやろ？」

よいしょ、と体勢を変え、押し倒す。

「紫耀くんあの、さ。」

此の期に及んでAちゃんは応じない、むしろ俺に質問してくる。

なんなんもう？

手を止めずに、耳だけ傾ける。

「なんで私なの？紫耀くんかっこいいから、他に相手作れるよ？」

「…、」

そういう雑談、いらん。

…でも、たしかに、なんで私なのって思うんやろな。

好きやけど、ちゃんと伝えたことないなぁ。

「…知らん。

でも見た目とか匂いもそうやけど、めっちゃしたくなる。

顕嵐とのこと含めて。」

顕嵐のつけたキスマークを見る度、
駆り立てられる、俺の本能。

なんでなんやろ、、

元々可愛いなと思ってたけど、正直最初はそこまで本気やなかった。

この子やったら久々に彼女にしてもいいかな、くらい。

でも、夏のあの日

『悪いけど、今日は俺とデートなんだ。』
『俺たち、付き合ってるんだ。』

顕嵐に牽制された時、俺の中の本能に気がついた。

今まで手に入らん女なんていなかったから。

あの時は、ヘラヘラした振りして"ふーん"なんて交わしたけど、
ほんまは頭ん中で、さっさと別れてくれへんかなって。

自分のようやく気に入った女がいつの間にか吸血鬼のアイツに奪われてたっていうストレス。

そして今もアイツに都合良いように染まってくっていう変なストレス。

せやからAちゃん見てると、顕嵐の影がちらついて、犯したくなる。

吸血鬼のアイツに、どんな顔見せるん？って。

俺、顕嵐がどうこうやなく、
吸血鬼そのものがキライやから。