Prince of Vampire 7 (ページ27)

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「なぁ、」

宮近と別行動の日、俺は寮でAちゃんを待っていた。

「え？」

いきなり現れた俺に対して驚きつつも微笑むAちゃん。

その華奢な腕を引き、部屋に引きずり込む。

「紫耀くん、どうしたの？」

「……。」

ニコニコ抵抗しない。
引っ張られるがまま、着いてくる。

「荷物置いて、」

俺はAちゃんのカバンやクラッチを奪ってソファーに置き、

後ろから抱き締めた。

「ちょっ、」

困った顔はするけど、真っ赤にはならない。

清楚さはそのままやけど、この子はもう純情やなく、大人。

あの吸血鬼に色々教え込まれたんやな、って思う。

そのまま抱き締めたまま、ベッドに背面ダイブした。

「わ、どうしたの？

…なんかあった？」

自分より俺の心配。

みんなにそう。

宮近は唯一違うと思うけど、

俺も顕嵐も、きっと他の男も、弱ってる所をAちゃんに癒される。

「なんもない。」

ホールドしたまま答える。

すると、
Aちゃんの強張っていた力が抜けた。

「重いでしょ、まだ出ていかないから、少し降ろして。」

上から振る落ち着いた声。

「重くないし。ちょっとこのまま居させて。」

腕の力を強めた。

しばらく流れる無言の空気。

気を遣ったんか、Aちゃんは

「…ダンス、最近どうなの？

元々上手な紫耀くんでも、学ぶこと多い？」

なんて聞き出そうとする。

きっと俺がなんか悩んでること、感じたんやろな。

でも、惜しい。
ダンスではない。

「めっちゃ順調。

日本に帰るんが楽しみ。
負けなしやろな、まあ宮近も頑張ってるけど。」

「すごいね、二人とも。来て良かったね、」

なんて彼氏以外の男の腕の中で、無防備に笑う。

無防備っていうか、俺が無理やり閉じ込めてるんやけど。