Prince of Vampire 3 (ページ29)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:223,380 hit

117 ページ29

＃Aran

Aの様子がおかしいのはわかった。

身体はどうってことない。

だから紫耀は病院じゃなく俺らのところに連れてきたんだと思うし。

でも、紫耀のあの慌て方。

ずっとキョドっていて、
いったいAに何をしたんだろう。

「はぁ、とにかくびっくりした。」

俺は、意識を戻したAに、一先ず安堵したことを伝えた。

「顕嵐、、」

ようやく俺の名前を呼んだAに、
いきなり紫耀とのことを聞く気になれなくて、軽い？ジャブから入る。

「宮近とのこと、整理するの大変？」

「え…。」

Aは驚いたような声。

…まだ宮近本人が告ってない以上、全てネタバレしちゃ悪いよな。

そう思いつつ、少しでもAの心の負担を減らしたくて。

「宮近、反省してたよ。俺にも謝った。」

「うん。」

Aは落ち着いたトーンだった。

「次あっちから何かあるまでは、Aは悩まなくて一旦保留でいいと思うよ。

あいつのこと信じて待とう。

きっと俺ら3人、うまくいくから。」

そのまま頭を撫でた。

すると

「私、意外と気にしいだから、色々なこと真面目に全部受け取るっていうか、」

Aはゆっくりと、

「うん。」

「悩んじゃうんだ。」

目を覚まして以来、初めてしっかり話してくれる。

「それがAのいいところでもあるけどね。」

「…あの日、海斗にされたこと、やっぱり意識しちゃって。

でも、顕嵐への気持ちがその分なくなったとかじゃない。

なんていうのかな、

私、顕嵐と海斗に今までしてた行動、大丈夫だったかな、とか。

こんな気持ちで顕嵐に接していいのかなとか、考えちゃった。」

「そっか。」

…なんか、本人から聞いて、安心した。

やっぱり俺ら3人は、隠し事、向いてない。ややこしくなるだけ。

「ならさ、さっきのも、紫耀も同じ？
紫耀にキスされたりでもした？」

流れでそのまま聞いた。

でも。

一瞬、Aの目が見開いた。

「え、っと、」

頑張って言葉を選ぼうとするAだけど、

明らかに、そういうことじゃない。

その目は、どこか怯えていた。