86 ページ38
＃Aran
俺は滅多に怒らない。
そのままAを車に乗せる。
「今日、水曜日でよかった。」
「え？」
「土曜日だったら、Aのこと寝かせずに襲ってた。」
「…ごめん、、」
「Aが謝ることじゃないよ。
でも、妬いた。」
妬いた、どころじゃない。
本音は物凄い挑発を受けた気分だった。
吸血鬼にとって、首にキスをすることは、古くから意味がある。
"自分の獲物"、ということ。
それにあいつ、Aにキスした瞬間、俺の方見てた。
まだ諦めてないのか。
ぼんやりした顔で、意外としぶといな。
「顕嵐、今日もうち来る？」
申し訳なさそうにAが言う。
「いいの？」
Aに"消毒"したいし、行こうかな、そう思っていた。
でも、
「やっぱり、今日はAがうち来てよ。」
「え？顕嵐のお家？」
驚くAを助手席に囲い、
実家の方に車を走らせた。
実家へ帰ると両親は仕事でいなかった。
車を見た時点で分かったけど。
「すごい豪邸、、」
Aが驚く。
「お手伝いさんいそうな雰囲気。」
「や、いないよ。父親の方針。」
「へー、」
「でも今日親いないから気楽に上がってよ。」
そう言うけれど、もし親がいたらいたで、別に良かった。
むしろ今日はいた方が良かった。
だって俺はAを紹介するつもりだったから。
心も、身体も、それだけじゃなく、
社会的にも、Aを俺のものにしたい。
「入って。」
俺は廊下奥のガラス戸を開け階段へと進み、自分の部屋にAを通した。
入るやいなや、首筋に手をまわし、
Aの髪をかき上げる。
「…、」
唇を近付けようとすると、
「だめ、」
顔を逸らすA。
「俺のこと嫌い？」
「ううん。」
物凄い勢いで首を振る。
「首は、見えるからだめ。紫耀くんに見られてたみたい。」
「…。」
そっか。
俺が先にあいつに火をつけたってことか。
「顕嵐？」
黙る俺を見つめるA。
「ごめんね。今度から見えない所につける、
って言いたいけど、無理。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 705人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：踊れる人大好き芸人
| 作成日時：2016年12月2日 17時
