Prince of Vampire 2 (ページ20)

今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:338,931 hit

68 ページ20

カーン！

「あれ？肝心の週末だぞ、Aはいーのか。」

金曜日の講義、つまり今週全ての講義を終えた解放感のまま、俺は宮近をいつもの場所へと連れ出した。

案の定、あいつは嬉しそうな顔で付いてきた。

シュッ

ただひたすら、並んで野球バッドを振る。

目を瞑っても風の音で当てられる。

プロ並み、いやそれ以上にうまくなっている俺。

それ程に通いつめている。

他人から目立つくらいの実力だと自負している俺は、他にお客さんのいない、寂れたこの店を選んで毎週末通っている。

こんなしがないサラリーマンみたいな方法で"発散"しているだなんて、絶対Aには言えない。

「そろそろこの店に付き合わされるのも卒業だと思ってたけど、まだそっちのホームランは打てなさそうなのか？」

下品でしょうもない下ネタも、男同士ならでは。

「お前ほんとバカ、」

「はは(笑)」

とにかく最高速度を打ちまくり、発散する。

「宮近。」

「ん？」

「俺、忘れてた。」

「何が？」

「人間の女子の仕組み、想定してなかった。」

「ん？あ、あれか？」

「うん。今日から5日くらい、一緒に寝れないって。

『今日明日は重いから痛み止め飲んで家に篭るから、楽しく海斗とかと遊んで』

だって。」

「"海斗とか"呼ばわりかい。

でもタイミング悪いなー。

どんまい。」

…ああ、仕方ない。

「二十歳まで待ったんだ。

こんなの平気だから。」

「(笑)

じゃあ毎月、月の半ばは、俺がバッティング付き合うぜ、

野球よりサッカー派だけど？」

そのまま深夜。

土曜日に入ってもこのまま、打ち込みを続けた。