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まさか。
「うそ…、」
夢じゃない、現実。
目の前に、本人がいる。
「嘘じゃないよ。
そこで靴脱いで入ってきた。窓開いてたし。」
「…どうして、いるの？
今日、何かあった？」
とりあえずゆっくりと、布団でパジャマ姿を隠す。
「どうしてもなにも。
それに今日が初めてじゃないから。」
「え？」
驚く私に、顕嵐の口角が上がる。
「だってさ、Aはいつも二階のカーテン開けっ放しで寝るじゃん。
この家は塀が高いから、防犯上油断してるんだろうけど、吸血鬼の俺は簡単に飛び越えてここのベランダに上がれるわけ。
知ってた？」
近づいてくる無邪気な笑顔。
「いつ知ったの？」
「最初に来たのはAが２０歳になってすぐかな。」
…何週間も前。
告白された頃ってこと。
「待って、今日2回目じゃないの？」
「数えきれないくらい。
ほぼ毎日、ベランダのところからAの寝顔を見に来てた。
夜は人通りなくて自由なスピードで外を走れるんだよね。
だから散歩の楽しみ。
日課日課。」
「そんな、」
顕嵐はベッドに腰を掛けたまま、布団越しに寄りかかった。
感じる顕嵐の体重、
「Aの寝顔、可愛くてずっと見てても飽きない。
分かった？俺の気持ち。」
見つめる視線。
「…だから、『あの時一階も広いんだね』って言ったんだ。」
「そうそう、二階は何度も覗き見ていたから。
実際に入ったのは今日が初めてだけど。」
「女の子の寝室にこんな時間に入っちゃだめだよ。」
「Aだけ。
こんな会いたくなったのAが初めてだから。
それに窓開けて寝るとか、危ないよ？
俺が来るって言った日だけにして。」
「…うん。」
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作者名：踊れる人大好き芸人
| 作成日時：2016年12月2日 17時
