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その後、俺に一瞥もくれず、外を見つめるように歩きだす。
「……山中さん？」
「……本当は、退職する予定なんて無かったんです。子供も、まだ先で良いと思っていました」
突然語り始めた、落ち着いた声に耳を傾ける。
「…ですが、ある日主人に言われたんです。
『子供を作るなら、早い方が良い。そう社長に言われた』と」
「……」
その瞬間、俺はこの人の夫に課せられた運命のような物を悟った。
「…うちの主人は賢い人です。
あの人は、社長が自らに何か"特別な任務"を与えようとしていたのに、気付いていました。
私には話してくれないものの、それがかなり内密で、人に明かせないようなものであることも」
…そうだ。
きっと俺の父さんは、この人のご主人に永遠の命を与え、手元に置くため、そういうことを言ったんだ。
…吸血鬼になって、更に永遠の命まで手に入れてしまえば、もうその男性は子供を作ることが出来ないから。
「ですが…、その後また、主人は言いました。
『もしかしたら、自分は海外のどこか遠くへ行くことになるかも知れない』
『夜、社長が専務らにそのように指示しているのを聞いた』と。
…ちょうどその頃です。
私が秘書課の上司に呼び出されて、常務の元に付くように言われたのは」
「妊娠して退職することになったからじゃないんですか」
「…いいえ。
その時はまだ、籍こそ入れていたものの、お腹に子供はいませんでした。
子供を作る気がなかったのは、ずっとこの会社で、阿部社長にお仕えする為です。
それなのに、社長は突然私を社長の元から外したんです」
「…だからあなたは、僕の父によって夫婦揃って重要なポストから外されると思って、自分の将来を見限り、妊娠と共に退職を決意した」
「…はい」
「ではあなたが退職すると話した時、僕の父はあなたに何と言いましたか」
「忘れもしません。
……『君を失いたくなかった』と。
社長自ら私を外しておいて、どうしてそういうことを言ったのでしょう。
社長が私を必要としてくださるのなら、私は子供なんて要らなかった。
今だって、私をあの方の所に戻してくださるのなら、私は……、この子を堕ろします」
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りりちゅん(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！完結してしまうのはとても寂しいですが応援しています！ (2017年5月25日 1時) (
レス) id: c321fe6a1f (このIDを非表示/違反報告)
踊れる人大好き芸人(プロフ) - nnm2000さん» 応援ありがとうございます！頑張ります！ (2017年5月17日 21時) (レス) id: 698c405fce (このIDを非表示/違反報告)
nnm2000(プロフ) - くすぐったくてキュンキュンします…頑張ってください！！ (2017年5月16日 19時) (レス) id: 432ef5cf0a (このIDを非表示/違反報告)
踊れる人大好き芸人(プロフ) - ゆうなさん» コメントありがとうございます。褒め言葉として受け取って、邁進します！（笑）本当は書いてる方も恥ずかしいのですが、徐々に慣れました…。 (2017年5月15日 14時) (レス) id: 698c405fce (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 読んでるこっちが恥ずかしくなる！頑張って下さい！！！ (2017年5月15日 11時) (レス) id: 9b29f9a6ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：踊れる人大好き芸人
| 作成日時：2017年5月5日 20時
