Prince of Vampire 10

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# Kaito




週に一回、Aから斗愛を預かることになった。






「海斗、ごめんね、お願い」




「いいよ、たまには自分の時間使いな」




「ありがとう、でも何かあったらすぐ呼んで」






"子ども預けて出歩くなんて、ママ失格かな、私"




いつもそう言って気にするから、




「俺が預かりたいだけ」




適当なセリフで安心させる。








「でも今日で預けるの、最後だから」




Aはつけ加える。






「…いいの？」




「うん。一カ月の間、ほんとにありがとう。


これちょっとだけど」






そう言ってAが渡してきたのは、小さな紙袋。






「何？」






「今日バレンタインでしょ？作ったんだ、海斗に」






「こんなに？」






「うん。あと、海人くんたちにも渡して？こっちは買ったやつだけど」






「さんきゅー」






「じゃあ夕方には戻るからね」






「はーい」








……






Aが出て行ってから、その足で俺が向かう先は決まっている。









「あ、きたきたー」







いつもの、大学の練習場。






「斗愛、よく来たねぇ」






待っていたとばかりに、出迎えてくれる如恵留くん。






正直子どもを預かるという大役を安易に引き受けたものの、


俺は自分の子どもだった頃の記憶も無ければ、子育てだなんてしたことない。




だから『預ろうか？』ってAに自分から言ってしまったその日のうちに、如恵留くんに相談を持ちかけた。


…如恵留くんはtravisの、俺らの、母親的存在だから。









すると如恵留くんは、




『俺、妹いるし従姉妹とかが小さい頃世話してきたから、多分面倒見れるよ』






と有難い発言。






『まだ1歳にも満たないけど大丈夫かな？』




俺が気にかけても、




『最近じゃそのくらいから保育園に預けて働く親も多いよ。それにたった数時間でしょ？』




と、さすがの包容力で、俺と一緒に引き受けてくれた。

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