Prince of Vampire 10

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「…とにかく、あなたが産休ではなく退職を決意したことで、
あなたは父から解放されたんです。



あなたが会社を辞めることで、きっと、ご主人の海外行きも、無くなるのではないですか。」









「……どうして、」






父が彼女を転生させることを諦めるのなら、彼女の身内を離れた場所に行かせる意味もなくなる。






「優秀なあなたを失った父が、等しく優秀な山中本部長を手元から離すとは思えません」








「……私は決して、っ」






「山中さん」






その動揺したままの瞳を再度見つめた。






「あなたが今出来ることは、無事そのお腹にいる子を産んで、母として、妻として家庭を支えることだ。




父には僕がいますし、何よりも、僕の母がいます。


父は、外では強い存在ですが、僕の母が家を支えてくれなかったらここまで来れなかった」








「っ…」








「…元気なお子さんを産むため、少し休んでください。

妻に任せっきりの僕が言うのもなんですが、子育てって仕事と同じくらいエネルギーが必要ですよ」








「……」








「そう思いませんか」








「………そうですね。




でしたら、常務はもうお帰りください。


お子さんも小さいことですし、今日はもう…私がやります、」








「いいえ。山中さんこそ、お身体に障るので早く上がってください」








「少しは手伝います」






「大丈夫です。僕は父に似て、体力には自信があるので」








「…」






「お気をつけて」







それだけ伝えると、山中さんは揺らいだ瞳のまま、静かに頭を下げて退室した。

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