Prince of Vampire (ページ15)

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#me

大学生になって一人暮らしを始めた。

実家から遠いわけじゃないけど、自立したくて。

親が過保護でお嬢様扱いされて育った私は、早く親元を出て、家の中のことくらいは自分で出来るようにと、ずっと一人暮らしを望んでいた。

…こんな良い部屋じゃなくていいのに。

親が用意してくれたのは、少し高い塀で覆われた、二階建ての小さな戸建。

『余っていた物件だから』
お父さんはそう言っていた。

生活空間を一階に置いて、二階を寝室にした。

開放感が嬉しくて、カーテンを開けたまま毎日過ごす。

観葉植物を置いたり、揃いの調理器具を買ったり、新生活に意気込んだ。

女友だちはほとんど大学は別になっちゃったけど、連絡すれば会える。

今度夕実たちに女子会誘われてるし。

ただ、むしろそんな親友の夕実より、最近じゃ宮近くんと顕嵐がいつも一緒で。

その二人と仲良くなってからはどこ行くにも一緒。

だから女子会をしようにもチャンスがあるのか、正直言うと不明。

でも、二人とも明るくて優しいし、その二人といるのも、これはこれで楽しい大学生活かな、なんて胸が躍っていた。

「宮近くん、なんのサークルに入ったの？」

「俺はもちろんダンス。

入学前の説明会の時に見学ついでにもう入部した。」

「はや。」

「Aは？」

「まだ決めてない。」

「顕嵐は軟式野球だよな。」

「うん。」

「硬式じゃないの？」

もったいない、あんなキャッチ出来るくらいに上手いのに。

「硬式だと頭髪とか規律がガチ過ぎるからゆるい軟式にしたんだよな、チャラいぞ。」

宮近くんがすかさずバラす。

「うっせ。」

面倒くさそうにいう顕嵐。

そういえば、高校の時は制服だったのに、今は私服で。

二人ともオシャレで、男の人なんだと意識する。

宮近くんはキャップを被り直し、学食を先に取りに行った。