Prince of Vampire (ページ14)

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# Kaito

進路の季節。

進路といえば、

元々親戚のダンススクールに通っていた俺は、将来そこでの指導者になろうと思っていた。

また、顕嵐は親がグループ会社を運営していたから、そこを継ぐだろうし、少なくとも最初のうちはどっかの下請けに入れてもらおうとしていた。

でも、それはAの鶴の一声？で大きく変わった。

ある日、耳が異常に良い俺らは、
教室の片隅で修学旅行以来久々に開催された恋バナ大会の内容を、聞いてしまった。

Aは言った。

『結婚するなら、そこそこ教養があって、仕事をしている自立した人。うちの親が厳しいから。』

『だよね、Aお嬢様だからね、厳しそう。』

…別にダンスも経営も、コネクションを活かそうと、ダメな仕事じゃない。

でも、

Aの提示した「教養」「自立」という言葉にちょっと自信を無くした俺たち。

「やっぱさ、今時最低でも大学は出といた方いいよな。」

いつもはクールな王子様が、分かりやすく落ち込んでいた。

でも、もちろん人の事言えない。

「…だな。俺もダンスは大学でも出来るし、そうしよ…。」

三年の秋になって急遽進学を決意した。

それから、

俺らの関係は変わらないまま、

月日は流れて行った。

……

「3人とも一緒の大学だねー。」

合格発表の日、自分のために俺と顕嵐がどれだけ必死に勉強したのか知らないAは、純粋に嬉しそうで。

その眩しい笑顔の裏で、

「宮近、お前絶対その視力使ってカンニングしただろ。」

「ばか、してないから！

顕嵐こそ、いくら積んだ？」

「は？」

くだらない言い合い。

「これだからボンボンは。」

「ちがうって。」

「裏口反対！」

「俺はお前と違って頭いいの。」

でも、冗談言ってらんない。

とにかく、これからも3人でいれるためには、入ってからも必死に留年を阻止しなきゃならないから。

俺と顕嵐はバカ笑いしつつも、

Aという存在から生まれた新しい刺激、未来という希望を実感していた。