8.in ページ9
「...あれ?」
お城の中をお散歩していると、急に涼介が立ち止まった。
廊下の向こう側に見える背中に見覚えがあるのだろう。
「なに、どうしたの?」
「雄也...」
「ゆーや?」
「慧が消した香りの持ち主。」
「あぁ...。」
どうりで聞き覚えがあるわけだ。
涼介が小走りで雄也に近付くので、慧もそれに続いた。
近くに行けば、確かに涼介に付いていたのと同じ香りがする。
だけどほんの少し...本当に少しだけ、嗅ぎ覚えのあるビターな香りも混ざっていて。
先程までこの人間が誰と何をしていたのかが容易にうかがえる。
「雄也っ!」
「涼介さん...?」
「こんな所で何してんの?もしかして...また俺に抱かれに来た?」
「いいえ、そうではなくて...」
...
...
────
...
...
結局、涼介は雄也を自室へ招いた。
洗いざらい話すよう命令すると、怯えたように声を震わせながら全てを語った。
要は、宏太に捨てられたわけね。
...ご愁傷様。
慧のご主人様が涼介で良かった。
尤も、こんなに綺麗な慧のことを捨てる魔族がいるだなんてとても思えないけれど。
「...それで、雄也はどこに行くつもりなの?」
「...わかりません。」
まぁ、そうだろうね。
ここに来る前に暗い檻の中で変態共に世話をされていたのは、なにも雄也だけではない。
だから慧にもわかるよ。
ここを出て行けと言われても、そもそも檻とここ以外の場所を知らないの。
途方に暮れるしかないよね。
「...慧、この部屋の住人が一匹増えてもいい?」
「...はっ!?」
「雄也をここに置いてもいい?」
「えぇっ!?嫌だよそんなの!!」
「頼むよ。俺、美しい子に弱いの。こんなに可愛い雄也を捨てるなんてできない。」
「むぅ...」
「その代わり、慧にも使わせてあげるから。」
「慧にも...?」
「慧も、雄也を好きに使っていい。ね、どう?」
...確かに、それは魅力的な話かもしれない。
慧だってオスだもん。
偶には攻めてみたい気持ちもある。
だけど...だけどね。
ちょっぴり、怖いんだ。
慧が美しいことに変わりはないけれど、雄也もまた慧とは別ジャンルの美人さんなの。
もしも涼介の心が雄也に奪われてしまったら、慧はもう立ち直れない。
死んじゃう。
涼介の愛は慧だけのものなの。
他の香りを付けてきた涼介も大好きだけれど、興奮するけれど...
...だけど、慧だって不安だもん。
寂しがり屋の猫だもん。
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まなお(プロフ) - ひかやぶ愛ingさん» だから次は全員メインに持っていく!!頑張る!!!! (2018年11月9日 21時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかやぶ愛ing - あるのね笑まぁいいんじゃない?それも。幅広い人に見てもらえるしね〜! (2018年11月9日 19時) (レス) id: 2e64229429 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - 岡本茉白@関西寄りのJUMP担さん» ありがとうございます!基本ハッピーエンドが好きなので、できる限りハッピーエンドに近くなるように心掛けているのでそう言っていただけると嬉しいです!今回もお付き合いいただきありがとうございました!! (2018年11月8日 22時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
岡本茉白@関西寄りのJUMP担(プロフ) - 分かっているのですが、やっぱり少しだけ、「今回はHAPPY ENDじゃないのかな?」って勝手に予想しちゃったり...笑 次の作品も楽しみにしております!ゆっくりとまなお様のペースで、頑張って下さい♪長文すみませんでした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: 6d6ad6adbc (このIDを非表示/違反報告)
岡本茉白@関西寄りのJUMP担(プロフ) - 完結おめでとうございます!!今回のお話は、私にとって色々考えさせられる内容でした...1話1話にハラハラドキドキしていましたが、皆幸せになってくれて良かったです♪まなお様ですので、内容がどんなに複雑でも最後は、必ずHAPPY ENDにして下さると (2018年11月8日 21時) (レス) id: 6d6ad6adbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まなお | 作成日時:2018年9月1日 10時