44.ym ページ45
雄也の突き刺すような視線が痛い。
俺の全てを司るその左目の紫が、俺には氷に見える。
慧を捨てた理由?
そんなの決まっているじゃないか。
俺は美しいものが好きで、それを追い求める為の犠牲。
美しくなくなった出来損ないの猫なんて要らない、それだけ。
傷物はゴミ、たったそれだけのこと。
...
...
...
...
...という言い訳の裏に隠した、本当の理由。
それを口に出せというのか。
今更。
慧を失いかけた今更になって。
「...早く。猫が待っています。」
「.........わかったよ。」
いや、むしろ今だからこそ...
慧を失いかけた今だからこそ、これを語るべき責任が俺に課されているのか。
俺は一つ息をついて、ドアから一歩入室したその場で立ちすくむ雄也の目の前に立った。
「...俺は、今の年が明けたらこの国の王になる。現王である父さまにそう言われた。みんな...俺も兄さまも国民も、兄さまが時期国王だと思っていた。だけど十年も前から俺の王位は決定されていたらしい。...全く、バカバカしい話だろう。」
「それがどうして猫を捨てる理由になったか、俺には理解できません。」
...大嘘つきめ。
「別に、俺と慧が結ばれることに問題は無い。国民の不安を煽ることにはなるけれど、慧ほどの美貌と器量があればそのうち受け入れられるだろうしね。だけど...やっぱり俺か兄さまのどちらかは、子孫を残さなければいけない。この家を途絶えさせるわけにはいかない。」
父は母と結婚する為に、かつて愛した人間を自らの手で殺めたと聞いた。
家臣から聞いた噂に過ぎないが...。
「宏太様と俺を引き離すことは考えなかったのですか。」
「できるわけねぇだろ...っ...兄さま、俺と違って何故かずっとこの城に縛られていたんだ。外に出ることを許されず、ずっとこの城の屋根と壁の中だけで生きてきたんだ。恋愛くらい好きにさせてやりたい...こんな空っぽの頭だけどさ、何をとち狂ったのかそんな風に思ったんだよ。...だから俺は慧と一緒にいるわけにはいかない。でも円満な別れなんて、共依存気味な俺達にできるわけがなかった。嫌われてしまおう、そんな浅はかな計画だった。」
そう、慧は俺が思っているよりもずっと俺の事を愛してくれていた。
だからこそ、幼稚な計画は失敗に終わったのだ。
というか、最悪の事態を起こしたのだ、
「...それ、全て猫に話してください。」
わかってるよ。
...
...
────
...
...
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まなお(プロフ) - ひかやぶ愛ingさん» だから次は全員メインに持っていく!!頑張る!!!! (2018年11月9日 21時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
ひかやぶ愛ing - あるのね笑まぁいいんじゃない?それも。幅広い人に見てもらえるしね〜! (2018年11月9日 19時) (レス) id: 2e64229429 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - 岡本茉白@関西寄りのJUMP担さん» ありがとうございます!基本ハッピーエンドが好きなので、できる限りハッピーエンドに近くなるように心掛けているのでそう言っていただけると嬉しいです!今回もお付き合いいただきありがとうございました!! (2018年11月8日 22時) (レス) id: 36d920dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
岡本茉白@関西寄りのJUMP担(プロフ) - 分かっているのですが、やっぱり少しだけ、「今回はHAPPY ENDじゃないのかな?」って勝手に予想しちゃったり...笑 次の作品も楽しみにしております!ゆっくりとまなお様のペースで、頑張って下さい♪長文すみませんでした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: 6d6ad6adbc (このIDを非表示/違反報告)
岡本茉白@関西寄りのJUMP担(プロフ) - 完結おめでとうございます!!今回のお話は、私にとって色々考えさせられる内容でした...1話1話にハラハラドキドキしていましたが、皆幸せになってくれて良かったです♪まなお様ですので、内容がどんなに複雑でも最後は、必ずHAPPY ENDにして下さると (2018年11月8日 21時) (レス) id: 6d6ad6adbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まなお | 作成日時:2018年9月1日 10時