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20.kt ページ21

｢泣く...？俺、が？｣


不思議そうに首を傾げ、真っ直ぐに圭人の方を見てくる。


心底意味不明なんだね...。


｢...俺、別に悲しくないです。｣


｢そっか...。んー...だけどね、圭人にはそうは見えないの。雄也くん、きっと強すぎるんだよ。頑張りすぎちゃうの。もちろんそれを強要していたのはこちら側だろうからなんとも言えないけれど...。なんと言うか、雄也くんは自分に嘘つきだ。｣


｢...しかたないんですよ。どんなに辛くても、怖くても...俺は耐えるしかない。人間ってそういうものです。｣


｢違う...違うよ、雄也くん。雄也くんの心、きっと泣いているの。もう頑張りたくないよーって...辛いよー、苦しいよーって。...そろそろ限界なんでしょう？｣


｢どうして...｣


｢圭人...そういうのわかるんだ。小さい頃から、少しだけ。｣


｢...｣


｢圭人の目、嫌じゃなければよく見てごらん。ちょっとだけ、緑がかっていると思う。｣


伸ばしかけの前髪を避けて、雄也くんに近付いてみる。


すると雄也くんはじっと圭人の目を見て、それからまた視線を天井に戻した。


｢...綺麗な色、ですね。｣


｢そうかな。圭人は嫌いだよ、この目。やっぱりみんなと一緒がいい。瞳の色くらい、普通が良かった。誰の本心も見たくない。｣


｢...ごめんなさい。｣


｢えっ！？そんな、謝らないでよっ！ね、大丈夫だから。むしろ、今は...今だけは、この目に感謝しているんだから。｣


｢感謝...？｣


｢そうだよ！だって、雄也くんの心が読めたから。だから圭人、雄也くんを傷付けないで済む。中途半端な優しさは、時に誰かを傷付けるから...。...それは圭人が一番よくわかっているから。｣


｢...｣


｢あ、もしかして読まれるの嫌だった？それは...ごめん。雄也くん、すごくわかりやすくて。涼介や慧ちゃんはほとんど読めなかったりするの。だけど雄也くんは、宏ちゃんと同じくらい...ぁ、｣


｢大丈夫です。続けてください。｣


｢ま、まぁ...あの、読みやすい場合とそうじゃない場合がいるってことだよ。これは個体差だったり、場面だったり関係性だったり色々あるみたい。｣


｢...はい。｣


｢それでね...ぁの、要するに...｣


｢...読めてしまった、と。｣


｢...うん。｣


｢じゃあ...もう隠してもしかたないですね。｣


｢ごめん...。｣


｢いいえ。むしろ見てください。圭人さんのこと、たくさん教えてくださったので。...見て、欲しいです。







...俺の左目。｣

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