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1.yb ページ2

こいつは今日もつまらなそうに窓の外を眺めている。


こいつが来るまで全く触れたこともなかったカーテンが、最近は細く開いていることも珍しくない。


切なげに揺れる瞳は視線を宙に投げたまま、ただ空の色に染まっているようにも見える。


膝丈ほどの長さの真っ白なノースリーブワンピースから覗く足を無造作に投げ出してベッドに座る姿はまるで少女のようにも映るけれど、こいつの性が自分と同じであることは俺が誰よりも心得ている。


左腕に巻かれた紅いベルトに自由を奪われ、こいつはここから動けない。


俺以上に狭く囚われたこいつの姿を見ると、俺の中の下劣な支配欲が満たされて何とも言えぬ満足感に襲われる。


あえて首輪にしなかったのは、こいつの髪を触るのに邪魔だから。


絹のようなその柔らかさが、かなり俺の好みだった。


風呂上がりの濡れた髪もまた、可憐に香って俺を癒す。


自らベルトに腕を通す仕草など、もはや癒しを通り越して興奮に近い何かを感じる。


と同時に、父もまた自分のことをそうやって見ているという現実に嫌気が差す。


悪寒がして、怒りが湧く。


それらを振り払うように、俺はこいつに手を伸ばす。


こいつがペット或いは愛玩動物であるということも忘れ、抵抗の涙も気にせず俺の欲に引きずり込む。


翼と牙と力が無いだけで、人間は俺達とそう変わらない。


人間界で狩られ、檻に入れられ魔族が飼いやすいように品種改良されたという人間は躾も簡単かと思われた。


しかし、こいつは俺の予想を遥かに超えている。


一度教えると必ず記憶し、決して間違えない。


手や舌の使い方も、極力俺に負担がかからない体勢も。


本心では嫌がっているはずなのに、必ず受け入れる。


その涙を見るのもまた、俺の楽しみの一つになってしまった。


もはや気になってしかたがなかった左目のことは許してやろうと思えるくらいに、こいつは優秀だ。


賢いわけでは無いが妖艶で美しく、綺麗で可愛らしい。


無理矢理欲を吐かせた後、俺の腕と翼で包んでやると安心したように寝息を立て始める。


今度は少年と美女を足して二で割ったような、なかなか形容し難い寝顔。


半開きの唇がなんとも愛おしく、思わず指でなぞるのも今では日課。


ここに来てようやくペットをペットらしく扱える。


背を俺の方に向けてベッドに置き、腹に手を回して眠るのは最高に気持ちが良い。


その際に左目を覗いてみるが、閉じられた瞼に他との差異は感じられない。

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