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sideガゼル
＊
『お前ホント好きだよな。
その、ハクゲイってやつ』
『……晴矢には関係ないだろう』
たった一枚のブロマイドを、彼は余り機嫌が良くなさそうな目で見つめる、もしかしたら“呆れた”の方が正しいかもしれない。
僕達はまだ幼かった。
ここには皆が家族という存在を持たず、またそれでいて私達は家族だった。
そういった、だからこその関係だった。
手元の“シークレットレア”と光る文字と共に反射する大好きな選手の目線と交錯する。
『そいつって、確かコアなサッカーファンしか知らない奴だろ、何でも存在自体が夢幻だとか』
『そいつじゃない有栖川選手だ』
『しつけェわ。
……こんなにキレイなのにな、何で皆知らねェんだろ』
……それは本当にそうだと思う。
幼い時点でこの美貌だ、話題になっても可笑しくない、なんなら連日ニュースのトップを飾っていても疑わない程だ。
『噂では一部で情報規制が掛かっているらしい。
報道なんて以ての外、新聞も、写真なんて余っ程じゃない限りはOKしない』
そしてその中でも、世界にたった三枚しかないブロマイドを引き当てた私はとてもとは言えないくらいの豪運だったと言える。
一枚はオークション、一枚はとある企業に、そしてもう一枚は私の手元。
三年前、値下げされた駄菓子屋の一角、光が反射されるチープな小袋に入れられた彼女の写真は、目の前と晴矢と同じ様な眉を下げた表情をしている。
“私なんかを撮って何が楽しいのだろう”、とまあそんなことを言い出しそうな表情が人間味があって堪らない。
両親という人間に捨てられた直後、私が引き当てたそれは、例えるなら宝くじよりももっと現実的だと。
それでいて、奇病で死ぬよりもずっと天文学的な数字であると理解させられた。
最初こそ知らなかったが、私にとってそれは一抹の慰めでもあったし、価値を知った後は、それこそこれさえあれば何処にでも行けると思ったのだ。
何にでもなれると思った。
これを売れば、私は一人だって生きていける。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - ゆりりんさん» ゆりりんさん、コメントありがとうございます！すみませんバタバタしてました……。これからはネタ切れしない限りは更新していきますので暖かい目で見て頂けると幸いです。 (2022年4月24日 16時) (
レス) @page38 id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！ (2022年4月23日 12時) (レス) @page33 id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 星猫さん» 星猫様、閲覧及び高評価、コメント、ありがとうございます！更新速度が遅い今日ですが、生暖かい目で見ていただければ幸いです！ (2021年9月11日 23時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - タブレットで操作しています!はじめまして!とっても素晴らしいです!高評価しました! (2021年9月11日 8時) (レス) id: 8c51e3f139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2021年8月30日 8時
