・ ページ23
「っぅ゛ｯ、」
動きやすい服を着ていてよかった、コートが無いのが些か不安要素ではあるが、機動が増したと思っておこう。
とはいえ細心の注意は払っておかなければ───
───殺られる。
念の為と訓練を受けていてよかった、と心底思いながら体勢を立て直す、溜息。
戦闘員が蹲って痛みを悶えていると、銀髪の彼が私の元に来る。
SOSと音を鳴らしながら。
「っ、っ、っ、──、──、──、っ、っ、っ、」
「わかった、分かったから、君のことを教えてくれ」
「っ、っ、っ、──、──、──、っ、っ、っ、」
「……喋れないのか？」
と、話し過ぎた様だ、目の前の戦闘員が声を堪えながら立ち上がる。
「……兎も角、少々急いだ方がいいだろう」
もう一度銃をセットし直す。
火薬が要らないだけマシだ、空気抵抗で音が少々通常の銃よりも大きいのが難点だが、サイレンサーをつければ殆ど問題ない。
船の出港まで後10分しかない、5分前には合流して乗り込みたい。
私の後ろで隠れている少年───と言っても五歳くらいの子供───の目を片腕で隠し、銃をもう1発、今度は足元すれすれに、体勢を崩した彼に今度は閃光弾を投げ込んで民家の影に隠れる。
「、、？」
「捕まってろよ」
横抱きにして民家の屋根に飛び移る、持久力に自信がある訳では無いので全力でダッシュして距離を稼ぐ。
「…………」
彼はその間私をじっと見ていた、敵意は無さそうだ、見定められている様な感覚である、自分の命を預けていいか考えているのだろう。
だがこのお陰でかなり距離を稼げた、後ろを見ると米粒程に縮んだ男がいる、どうやら彼、足は遅そうだ。
待ち伏せしていたのだろうか、捕まえるなら早いところ捕まえてしまった方が得策だったろうに。
抱えられた少年を見ると、かなり傷だったり痣だったりが出来ていてハッとした、男が捕まえられなかったのだ、彼が全力で逃走したから。
子供の足の速さは案外馬鹿にならないから、彼は命からがらあの男たちから逃げ出してきたのだろう。
頭の片隅で、彼に起こった惨劇を想像しながら、走った、上手いこと撒くことに成功すると、船着場の近くの店の影に隠れることにした。
「……よく頑張った」
「？？」
「ああ、言葉が分からないのだったな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - あかいりんごさん» あかいりんご様、閲覧及びコメントありがとうございます！とっても嬉しいです！！更新は停滞気味ですが気長に待って頂けるとありがたいです！！ (2021年3月31日 22時) (
レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
あかいりんご(プロフ) - コメント失礼します。昔から見ててずっと探してました！言葉選びが凄く好きです！応援しています！ (2021年3月30日 20時) (レス) id: 089acdd5f5 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 星猫さん» 申し訳ございません、こちらは存じてないです。完全なる自己満足の駄作なので合作する予定も今後もないのです……。ご不快にさせて大変申し訳ございません……！ (2021年3月17日 0時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 後、トラスフォーマープライムは知ってます？ (2021年3月16日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 一緒に合作しませんか？ (2021年3月16日 19時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時：2021年1月26日 21時
