失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ8)

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在学中、多少は運動していたとは言えども、これは研究室に数年間こもりきりだったのが不味かったのだろうか。

少なくともそれ以外の原因が見当たらない、そう思いながら私はパーカーに着いた錆の欠片を叩いた。

夜明けまでまだ時間がある様で、空はまだ夜のままだ。

持ってきたポケットWiFiを起動させて携帯を弄っていると、誰かの足音だろうか、ハシゴを登っている音が聞こえる。

私以外にも此処に来る人間が居たのか、と不思議にその人を待っていると、ニョキ、と、明るい色のターバンが見えた。

「ん？」

「お？」

登り切って、首を傾げる目の前の彼に、やあ、と手を降ってみる。

「ここは君の居場所だったかな？」

お邪魔しているよ、と言うと、

「おう！俺円堂守！」

と、急に自己紹介してきた。

そんな弾丸の様な彼をただ呆然と見ていた。

彼は、お前の名前は？、と聞いてくるので、私は思案する、彼の特徴的な明るい色のターバンを見る。

「ターバン野口……」

「……えー……」

嘘つけ、とでも言う様な顔で私を見る、あのターバンを巻いた野口英世が頭から離れない、彼は自身のそれをバンダナであると訂正した。

「そんな顔をするなよ……」

ボケただけじゃないか。

生憎名前がネットに公開されている以上は迂闊には名乗れない、私はそこら辺に居そうな少女でありたいのだ。

……と考えてはいるが、……何だが少し罪悪感が湧く。

初対面なのに何故か親近感の湧くそれに、そんなことを思いながらジト目で返してみた。