失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ42)

今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:89,614 hit

5_神と魔神ページ42

sleeping beauty was in the sea,

who don't notice it.

　目を開いて、私を呼び起こした物を見ると、歪な、白い鯨のぬいぐるみだった。

　木製のボタン。

　金属製の色が剥げたチャック。

　中に詰まったたくさんの綿。

　私だったらこんなの、もっと上手く作るのに。

　なんとも不器用で不細工な作りのそれは、恐らく手作りだ、誰が作ったから知らないし、興味もない。

　それが私の顔面に当たったのを自覚して、初めて自分が数時間も寝れたことに気が付いた。

なんだ、私は寝てたのか。

日々の疲れが本当に久しぶりの心地よい眠りへと昇華された、横を見ると、木と鉄で出来た机の上に太陽に輝く数本の瓶詰めと処方箋。

中には私の生きるための餌が入っている。

種類は本当に様々で、手前から順番に入眠剤、睡眠薬、頭痛薬、不眠症治療薬、精神安定剤、抗不安薬、抗うつ剤、その他、エトセトラ。

後半のやつは、昔諜報活動をしてた時、任務中とか、言わばそういう時(・・・・・)はよく使っていたけれど、最近は使っていない。

使わないでも生活出来るようになったというのもそうだけれど、過度な離脱症状が怖かったからというのもある。

……怖かったから、あっているのかもしれないけれど、正直恐怖心はあまり無かった、怖いという感情に代替されたのは不安だった。

私が向精神薬とか、そういう体に入れるもので1番に心配している事はそれだった。

朝くらいに起きて、パソコンを開く、研究室からのメールがないのを確認してから、ベッドの上に置かれた充電中の携帯のコードを抜く。

お茶を飲んで、歯を磨いて、外出用の動きやすい服に着替えて、軽くストレッチをして、藍色のコートに目をやって。

対人型武器を総て確認して、ループタイの中のカメラを起動させて、携帯を見て、バックに荷物を入れて、今までのことを総て確認して。

外出した、今日は世宇子中と雷門中の決勝の日だ、最初から行くつもりはあまり無かった。

円堂に誘われたら日程によるものでもあったし、実際誘われた、そして何より依頼内容の中身が中身だった。

瞳子さんは、自宅で見て結果を待つらしい、私は彼らを追いかけよう。

もちろん、パソコンのデータに、世宇子中には影山が関与していることは確認済みである。