失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ41)

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依頼の話がそれはもうとんとん拍子に進んで驚いたが、彼女に悪意は無さそうだ、全く。

取引の間は正に人畜無害ですよ、と言うような顔だった。

そこに違和感無き違和感を感じる。

予測では彼女、かなりの場数を踏んできた様な人間なのでそこだけは信用しきれないが、癖なのだろうか。

まあアメリカ支部支部長の肩書きを持つ程の人間だし変に詐称もしないと思うけど。

「それで、瞳子さんはどの学校が勝利すると？」

「そうね……いつも通りなら帝国だけど」

今回は世宇子中が勝ったようだし、と思案する、依頼の話は終わってしまったので私達はお互いを知ろうと雑談に明け暮れていた。

彼女曰く、このカフェは貸切らしい、以前懇意にしていたマスターと取引したとの事。

そこにそこそこ大きな額の金が動いたことも察した。

「……帝国が負けたのか？」

彼女はタメ口で話すようになった、私も気兼ねなく話せるくらいには大分話したと思う。

「知らなかったの？」

「嗚呼、まあ私は雷門中に賭けているが」

世宇子中と雷門中、軍配が上がる比率は？

通常なら6:4、私は0:10。

「どうして？」

あそこは伝説もあるとは言えど弱小チームとして今は名を馳せていた筈。

リスクと利益を考えて、リスクを重視する人間だと言うのは雑談でよくわかった、そんな彼女に好感が持てた。

けれど一点賭け、しかもオールベットとは珍しい。

「あそこのキャプテンと交流があってな」

「意外ね、貴方が進んで人と話す様な人間には思えないのだけど」

そして時には私情を挟むことも。

「私だって驚いている。

部下から警戒すべき選手のリストを貰ったが、私の見る目が間違ってなければあれとはまた違うものがあるよ」

正に打てば響くってね、と。

きっとキャプテンとしての素質があるとでも言いたいのだろう、そう納得すると、そういうこと、と表情を返してくる。

実際彼女が言うならそうなのだろう、見たことは無いが、リスクを重視する人間が私情を挟んでまで賭けているチームなのだから。

見る目を疑っている訳でもないので素直に聞いておく。

「へぇ……まああまり肩入れする心算は無いのだけれど」

「あのチームと関わったら嫌でも肩入れしたくなる様な人柄のキャプテンで」

「ああ……」

困っているよ、とこれはまた嬉しそうに笑うのだった。