失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ5)

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研究室の皆からの見送りは盛大なものだった。

卒業式の日、朝早くに私は部屋へ向かうと盛大にクラッカーが鳴る。

いつもは資料が散乱している筈の部屋が綺麗になっていて、机の上にはパソコンではなく新鮮な日本の食材が並べられていたので流石に驚いた。

そして彼らはこう言った。

「ジャンクフードだとドクターに怒られるので食材を買ってきたぜ」

ドクター、と呼び慕ってくる年上の(ここ大事)下級生にそう呼ばないでくれと諭してから、

「なら誰が調理するんだ？」

「あ、あー。

少しはアランが作れてるから……」

と今度は、奥の方からパソコンをいじっていた同じく年上の(しかもこれまたガタイのいい)下級生に指を差される。

言われて調理台を見ると、中々の出来なものがあれば微妙なもの、黒黒しいのも……。

要約すると、見るに堪えない物が大半だった。

「バカモノーっ！！」

と、思わず叫んでしまった2日前。

結局私が作っていた。

肉じゃが、魚、ローストビーフ丼。

これ以上見たくはないと思うが、嬉嬉として食べてくれた人間が居るだけで心が暖まるものだ、食器くらいは自分で洗って欲しいが。

その旨をアランを含め3人の後輩に伝えると、そっぽを向かれた。

お別れ会も終わって、数々のお土産と共に私は研究室の皆に空港まで見送って貰った、中々人情に厚い、というのが私の一言だった。

お土産の中にはお菓子、ストラップ、写真、カメラ、中には最新型のパソコンもあって冷や汗がつたったが、アラン達にはグッドサインで押し切られた。

そんな私は別れを惜しみながらも、長い時間タクシーと飛行機に揺られ、気付けば日本に。

2年ぶりに家に行くと、結構埃が凄かった。

どうやらここの家主である父親は長く家に帰ってないらしい、すぐに掃除を始め、3時間かけてようやく綺麗になった自分の家を見て、我が物顔で寛いだ。