失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ40)

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「ど、どうして支部長がわざわざ日本に……！？」

しかも有栖川と言ったら、あの名門ノーステティア大学を首席合格して飛び級、卒業した人間と一緒の苗字。

高確率で同一人物だけれど、わざわざ日本まで来ることが分からない、どうして、私を危険分子とみなした？

「驚かないで下さい。

日本出身の人間が、外国の大学を卒業すれば普通1回は帰るでしょう」

それと同じですよ、と苦笑して言ってのけた彼女に頭を抱えた。

真逆あのアメリカ支部の支部長が対応に来ていたとは、予想外。

しかも有栖川Aと言えば、サッカー界でも大海の奏者として一時期有名だった人と同姓同名、真逆とは思うけど……。

「あはは、相当驚かれましたね。

まあいいです、依頼は、私個人にとって都合が良かったのですよ。

貴方が私以外の対応をお望みならば値段は提示された方になりますが」

「いいえ、貴方がいいわ。

同性だし、話してて少し楽だもの」

雰囲気が少し柔らかくなった彼女に笑いかける、彼女は驚いた様子で私を見た。

今回は見間違いじゃない、確かに驚いていた。

今回の任務の役は自分で足りるだろうとでも言うように捺印までの動作を水の如く進めていたのにも関わらず、その表情は微妙なギャップを感じる。

それに貴方大海の奏者でしょう、と言えば一転、苦笑した。

「足を負傷しているので全盛期程とは言えませんが、マネージャー業と補欠で出るくらいならお役に立てるかと」

それよりもよくご存知で、と目の前の人は言う。

当たり前だろう、後々とは言え自分の素性が割れていたのだから。

しかし当時の人間やコアなファンなら一度ならず二度聞いたことがあるくらいの人間だ、大海の奏者なんて。

真逆今現在は秘密組織に入っているとは誰も思いもしなかったろう。

「……ええ、兄弟がね、貴方に憧れてたのよ」

「……それは、」

期待が重いな、と困った様に笑った。