失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ39)

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「……？」

何か不都合な点でもあったのだろうか。

……いや、あくまでも秘密組織扱いになっているAourに団体行動を、しかもサッカーをしろと要請するのもおかしな話だろうが。

彼女は電話を掛け、席を立とうとした、こちらでも大丈夫ですよ、と言うとありがとうと言って真剣な顔をして話し始めた。

「嗚呼、アラン緊急だ。

皆を呼べ、いいか、例の件はアメリカ支部が受諾する、筆頭は私だ、今すぐ情報収集。

日本支部にも応援要請と、令状。

それから依頼料は私が設定する、こちらに利があった、足りない分は私が補う。

それでいいな？」

『───』

「内容は後で送るよ、よろしく頼む」

『───』

短い時間の間、私は呆然と目の前の彼女を凝視していた、私が聞いたことは果たして本当なのか。

彼女は支部の者なの？

しかも電話1つで支部を動かせるくらいの？

「ああ、失礼しました。

依頼ですが、アメリカ支部が承諾させて頂きます、料金は提示された2分の1で構いません」

そう言いながら事前に準備していた書類に指定された金額に棒線を引き、その半分の金額をなかなかに綺麗な文字で書き加える。

捺印をする所まで、それを一動作としてずっと見ていた、まるでそれが当たり前だとでも言う様な優雅な振る舞いであった。

「どうして？それに、」

何があったの、貴方は誰？

そう彼女を凝視した。

不可解な顔をしたのもそうだが、そんなのは見間違いだとでも言うように彼女はすぐ様納得した顔で懐から名刺を取り出すと、

「……嗚呼、申し遅れました。

Aourアメリカ支部支部長の有栖川Aです」

荻原というのは偽名なのでお気になさらず、では以後お見知り置きを、とそれもまた優雅に笑う彼女に血の気が引いていく。

「……支部長……！？」