失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ35)

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電話番号を聞いた後、受話器を直す、特有の音が響き、僕たち三人はまた顔を見合わせる。

「……名前からして日本人女性だ」

多分未だ若いぞ、と。

「しかも日本支部では無くアメリカ支部だ、提供された電話番号は＋81、てことは」

住居は十中八九日本に構えているだろう。

「かかってきた番号は？」

「公衆電話だ、タイムラグからして発信先も日本で間違いないだろう」

ジャック、今ので発信先を洗えたのか？

いいや。

「だが、日本の首都圏付近だろうな。

公衆電話の外から聞こえる騒音、と大体の位置情報、勿論ブラフの可能性もある」

最新型のコンピュータに変えておいてよかったぜ、と彼はしたり顔だ、先日ハンスにコーヒーを零されたので、上手く上層部に金をせびっておいた彼は中々にご機嫌である。

「何故この大学にアメリカ支部が存在することを知っていたのでしょうか。

大学の生徒だって、名前でさえこの組織のことは知らない人が多いのに」

「んなの知るかよ、上層部に伝手が居るか、以前にも受けたことがある取引先か」

「前者はほぼ無いだろうな、伝手が居るのならそいつから依頼が来るだろう」

もしくはそいつが動けばいい。

支部長クラスである彼女は人との交流は殆ど無いので上層部は本部の人間になってしまう、それなら確かに違和感を感じるのは当然だろう。

「取敢ず、掛け直すぞ」

ジャック、音声の準備を。

彼は重そうなパソコンを持って、受話器に近づけた。