失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ31)

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「頭のキレるジャックがそうならそうなんだろうな。

分かった、頭の隅にでも入れておくよ」

『そうしておいてくれ。

吉良財閥会長も行ったことがあるらしくてな、何かきな臭い(・・・・)んだ』

「……財閥ぐるみか」

続けてくれ、と先を促す。

『嗚呼、日本支部からの情報提供では、彼が経営している孤児院は以前まで人がいたが、今ではあまり声が聞こえないと聞いている。

とはいえ、あまり信憑性は無いが』

まあドクターが調べるには小規模過ぎるか、と言われたので、何処に危険因子が潜んでいるかわからんぞと忠告しておく。

「後ドクターと呼ぶな」

『試験受かれば大学院生活を免除出来るくらいの立場なのによく言う』

「お前だってCIAからの引き抜きが来てる癖によく言うよ」

私達研究諜報員の立場は結構不安定で、命の危険もある様な立場だが、その分社会的地位は保証されてある。

例えこの組織を抜けたとしても、組織の情報を漏らさなければ慎ましく生きていけるくらいの金は支給されるのだから。

活躍すればする程金額は上がる。

そして活躍すれば勿論他組織からの引き抜きもかかる、現に彼は前述の通り、CIAからの引き抜きが来ている、それだけ優秀なのだ。

私はその様なものは無いが、イギリスのMI6から1度勧誘されたことはある、断ったけど。

少なくとも、アメリカ支部は他国の支部よりもハイレベルな人材の集まりだと思っていただければ結構。

その分少数精鋭で負担は凄いが、またその分個々の能力が高いのだから他国とそれ程変わらない。

お陰でアメリカ支部研究諜報員は私を含めた4人しか居ないのだが。

「兎に角、リークは頼んだぞ」

『分かってるよAlice。

ああ後、数日後には茶葉がそっちに行く筈だ』

いつも通りアールグレイとアップルティーを入れているという彼に、

「ありがとう、楽しみにしているよ」

と声をかけておく。

彼は少し機嫌がいい様で、笑いながら返事をしていた。

電話を切ると同時に、パソコンの画面からブックマークしていたサイトの通知が来る。

見ると、雷門が地区予選決勝相手である帝国学園を打ち破ったとサッカー専門のニュースに報道されていた。

私は市販のアップルティーを飲みながら、ピロリンと鳴って出てくるそれに頬を緩めた。