失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ26)

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念の為突っ込んでおくが、彼の指す大麻は嗜好用ではなく、精神的な医療用のモノである。

私が見たものは。

いや、嗜好用を使う所も見るけれども、私が見ても頻繁には見ない程度である。

私が居ない時は知らないので勿論何とも言えない、まあそもそも嗜む程度で終わっているのならこんなにいじられもしないだろう。

しかも大学のある場所は大麻を合法化している州なので違法でもない。

勿論、日本人の倫理には反しているだろうが。

「冗談だ」

あの緋色の研究でさえ───フィクションだからこそとも言えるが───、ホームズはガチの薬漬け野郎だった。

その例にならえばある意味、このあだ名は天才の裏返しということになる。

悪意も他意も無い、それ皆が理解していることである、理解していじっている。

詰まる所ブラックジョークと言うヤツだ、それもちょっと、悪意が無いから余計タチが悪い方の。

しかしてそんな後輩達を、私は痛く気に入っていた。

「ハンス、ジャック。

現在の日本の内情を探れるか」

『ハイハイAlice、こちとら既に調べてある』

その呼び方は止めてくれ、小っ恥ずかしい、そういうとケラケラと笑われた、顔だけ野郎め。

おいジャック、と携帯から聞こえてくる声を他所目に、試合の様子を見ると、もうほぼほぼ決着が付きそうな雰囲気だった。

監督の呪詛に気付いたみたいだ。

端末の向こう側に、調べ尽くしたらこちらのパソコンに送ってくれと頼む。

因みに、例の最新型のパソコンをお土産にプレゼントしてくれたのは他でもないジャックだった。

基本設定もしっかりした後に貰ったので、ぶっちゃけあのパソコンは彼の管理下にある機械ということになる。

何処まで何を仕込んでいるか分からない所が恐ろしい所、私は頭を掻く。

「よろしく頼む」

ぽち、と端末の通話を切る、元の場所に戻ると、少年2人は既に立ち去ろうとしていた。

立ち振る舞いからして、如何やら私を待っていた様だ。