失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ25)

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『ドクターには敵いませんよ』

貴方と2年以上も一緒に居たら行動パターンも何となく分かる、と言われ頭を抱えた、私はそんなにも単純だったろうか。

いや、少なくともアランは頭が良い奴だから単に分かりやすかっただけだろう。

そして彼の私に対する二人称をいつもの様に注意する。

「そう呼ぶなと言っているだろう。

……まあ兎も角助かる、上手く利用させてもらうよ」

後紅茶の茶葉を送っといてくれ、あのジャック───アランと同期の研究生、ずっとパソコン弄っていた子───のお手製のアップルティーが恋しい。

そう言うと彼は笑いながら分かりました、と返事する。

事実彼の仕込む茶葉にハズレは無いので在学中はよく用意してくれていたし、実際私達も懇意にしていた。

その中でも気に入っていたのが彼の仕込むアップルティーだった。

「ジャックと薬漬け野郎は息災か」

と、少々魔が差して、巫山戯てみた。

薬漬け野郎、もといハンス───同じく研究生、無駄に顔がいいので顔だけ野郎とも名付けられている───のあだ名である。

『誰が薬漬け野郎だ』

それに大麻はもう止めたって言ってんだろうが、と突っ込んでくる、彼奴は沸点が少し低いから今頃電話越しで拳を握りしめているに違いない。