失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ23)

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そして当日。

円堂から言われた通りの場所に行くと、少なからず観客……と言うよりは見物人がおり、素直に感心する。

既に試合は始まっていた様で、近くの木に寄りかかって座り、持ってきたチョコレート菓子を食べながら見物していた。

どうやら相手は催眠術を使うらしい……それはサッカーとしてアリなのか、という疑問にも苛まれたが、特に気にはしないようにしたい。

試合においてそれを使い、得点を決めている相手チームを観察しておく。

……明らかに監督が呪詛を吐いているので、横目で睨んでおいた。

……霊的な現象って、やっぱりあるんだ。

「……なあ、」

「……む？」

何だ、私か。

と問いかければ如何にもと返される。

話し掛けた人物はゴーグルに赤いマントを着けた何とも派手な出で立ちの人物だった、しかし……見覚えがある様な。

幽霊だろうかと、あの監督を見ていたので少々毒された様だ、心の中で笑っておく、ジョークだよジョーク。

暫し考え込んではいたが、何も浮かばないのでまあいいやと諦める、日本だから何か無い限りは安全だろうし。

少なくとも研究室周辺よりは。

「私に何か用か？」

「……先程、あの監督を見ていたが」

「嗚呼、そうだが」

それがどうかしたのかと聞くと、

「お前はこのトリックに気付いているんだな」