失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ18)

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「なあなあ緑！聞いてくれよ！」

またとある日。

そう言って彼は、私に学校のことを話してくる。

最早最近の日課になってきている気がするが、私も此奴なら気兼ねなく話せるくらいには円堂という存在がグレードアップしていた。

記憶を失って2年、初めて出来た友人が何だかこそばゆい。

「転校生が来たんだ！

豪炎寺って言う奴で、サッカー部に入らないかって誘ったんだけど」

どうやら私に似た様な奴が転校してきたらしい。

要約すると、すごいシュートを決めて見せたのにも関わらず、サッカーを辞めたとか何とかー、と言っている人物。

ちょっと気になる、個人的にも。

彼の交友関係を調べたい訳でもないが、彼の周りの人物なのだからきっといい人ばかりなのだろうと悟った。

そういえば彼、学力は大丈夫なのだろうか。

私はそんな少年に、サッカーも良いが、勉強の方は大丈夫なのか、と聞くと、彼は思い当たる節があるのか、夕日に向かって目を逸らしていた。

そんな彼が面白くて、分からない所があるなら教えてやるから、と面倒事が嫌いな筈の私が言ってしまった。

彼はとても嬉しそうに私を見て笑っていた。

私はそう言ってしまった自分に凄く驚きながらも、彼の笑顔が買えるなら時間くらい売ってもいいだろうか。

そう思案するくらいには私達は仲が良くなっていた、円堂は早速、鞄から数学の課題をさりげなく私の目の前に出していた。