失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ17)

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「緑ー」

と、何だか気の抜けた声でうたた寝をしていた私を呼ぶ。

「……何だ」

視界に、身体中ボロボロの円堂が居た、相変わらず頑張っているな……。

寝起きの態度が悪いのはご愛嬌で、私は眠い目をこすって彼を見る。

「お前って、名前を隠してるくらいなら、お前のこと他の奴には言わない方がいいんだよな？」

「……まあ、そうだな」

またとある日、彼はこんなことを言い始めた。

私は彼が此処まで気を使えたことに正直驚いていた、それを伝えると、お前は俺をなんだと思ってたんだ、と少し不貞腐れつつ返される。

「そんくらい有名な奴なのか？」

「まあ、そうだな」

いや、そうなのか？

私が危惧しているよりもずっと大丈夫な気がしたのも間違いでもない。

でも立場上、私にとって名前を明かすのはあまりいいことではなかった、まあその話はまた今度。

「それって、サッカーに関係する？」

「……今は違うな」

そう言うと彼は思案する。

今は違う、と言ったので、昔はそうだったことに気が付いたのだろう、何やら本当に、真剣に思い出そうとしていた。

彼の真面目に考えている顔がらしくなくて、くくっ、と笑ってしまった。

それを指摘されて、少し不機嫌になった彼を宥めた、夜頃には戻っていたので内心ほっとしてその日は帰った。