失楽のウンディーネ【イナイレ】 (ページ11)

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「……」

「だからサッカーも辞めた、どんなプレーをしていたのか、どんな感情でそれをしていたのかも覚えていないんだ」

彼は私の言葉に押し黙った、余りに衝撃的過ぎて目が点になりかけそうだが、何とか理解出来たらしい。

暫く経ってから、そうか、ごめん、と朝焼け色に染まる空をバックに眉を下げた。

申し訳なさそうにしているが、それでも何か言いたそうだ、私はその言葉を待っていたが、幾ら待っても彼は何も言わない。

気まずくて、私は途切れた言葉を続ける。

「私こそすまない、君には関係の無い話だったろうに。

折角の朝焼けを台無しにしてしまったな」

「……いや、聞いた俺が悪い。

俺の不注意だった、ごめん」

俺昔からデリカシーが無いって言われるからさー、と気落ちした声で私を励ますように言った。

そんな彼に、私は何だか悪い事をしたな、と。

「そうしょげるな、記憶に関してはもう殆ど諦めている」

だから円堂、お前が気にすることはない。

ないんだよ。

そういうと彼は迷った様に声を出した。

「なあ、それからサッカーやってないんだろ？」

「嗚呼、やっていないよ」

「だったら！

ちょっとだけやってみないか！？」

私は思わず目が点になる。

どうやらこれが私に対する最大限の彼の譲歩らしい。

結論から言おう、彼の、輝かせた目の光に根負けした。

「……まあ、ちょっとならいいぞ。」

彼の申し出を断ると、ちょっと面倒なことになりそうだったのだ、何だか罪悪感に絡まれそうだ。

「……そっか！！」

やあっったーッ！！、と朝日と、それに照らされる屋根屋根に向かって叫ぶ彼に思わず笑ってしまった。

私がサッカーをすることがそんなに嬉しいか、少年。