学園アリス～パート2～ (ページ18)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:23,334 hit

episode64 ページ18

(アリスを使えない今だからこそ楽しみなさい。こんなチャンス滅多にないわよ。)

確かにそうなんだけど…。
アリスが使えていたらアリス祭を櫻野と回るなんて話にはまずならなかった。

これから先もそんな話にはならないと思う。
静音ちゃんの言う通り、願ってもないチャンスなんだけど…。

チラッと様子を伺うように櫻野を見る。

「……。」

口元を手で隠し、何かを考え込むようにしている櫻野。

しばしの沈黙が流れる。

その間にも私の心臓は、他の人に聞こえてしまうんじゃないかと言うほどドクンドクンと脈打っている。

あ…。

いつのまにか櫻野を凝視していたようで、目が合う。

「そうだね。じゃあAと僕はペアになって回ろう。それ以外は予定通りに動いてくれ。」

櫻野は完璧な微笑みで返事をした。
いつもの櫻野ではなく、学園の総代表としての顔だった。

久しぶりに自分のことを“僕”と呼んでいるのを聞いた。

たぶん生徒会のみんながいて、今は大事なミーティング中だから自然とそうなったのだと思う。

分かってはいるけど、いつも私の前では地を出していたから、急に他人になったみたいで少しショックだった。

.