きゅう ページ19
またグロ注意!
***
少し昔話をしよう。
突然だが、私は人間であって人間ではない。いわゆる現人神だ。
私が生まれたのは西暦800年。平安時代と呼ばれる時代だ。
貧乏な百姓の元で過ごしていた私は、幼少期から酷い扱いを受けていた。
長い銀髪に碧眼、どう見ても日本人ではない。両親は悪魔の子だと言って何度も殺そうとした。
食事、排便は当然させてくれない。刺されたり、溺れさせたり、火に放り込まれたこともあったっけ。
でも、私は生きていた。この頃から、自分は人間ではないのだと自覚をし始めた。
…感情も、無くなっていた。
しばらくして、両親が死んだ。
流行病だったらしい。両親と仲良くしていた百姓らは、皆涙を流していた。
それが私には、心底理解できなかった。
その日は、家の床で死んだように眠った。
目を覚ますと、知らない人のお家にいた。
五条国永という刀工だった。しばらくは彼の家にお世話になるらしい。
彼は良く笑っていた。ご飯もくれるし、お風呂も貸してくれた。
暇な時はよく遊んでくれたし、いろんなことを教えてくれた。
私のことを化け物だと言わなかった。
いつからか、彼のことを“父さま”と呼んでいた。
彼は私を娘のように愛してくれた。
ある時父さまが、私に作りかけの刀を見せてくれた。
それが、鶴丸国永だった。父さまはいつも鶴丸のことを自慢していた。素晴らしい刀だと。
羨ましい、と思った。生まれる前から父さまの愛を貰えるなんて、すごいと思った。
それから毎日、鶴丸に話しかけた。たわいもない話だ。
花が綺麗だの、ご飯が美味しいだの、父さまがすごいだの。
物言わぬ刀が、初めての友だった。
いつか父さまは、私たちのことを兄妹のようだと言っていた。
そのことが、とっても嬉しかった。
でも、幸せは続かなかった。父さまは死んだ。
初めて泣いた。哀しいというものはこんなに苦しいのか、と思い知った。
ヒトの命は儚い。あっという間に私を残して逝ってしまった。
それからしばらくは、どう過ごしていたのかわからない。
鶴丸に話す気も起きなかったし、何より生きる気力が無かった。
この頃には、私の身体の成長は止まっていた。
ある日、父さまのお師匠である宗近さまに見つかって、彼に引き取られた。
鶴丸と離れたくないと駄々をこねたが、彼は素晴らしいお家様に引き取られたのだと聞いた。
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ルナ(プロフ) - 中々面白いです! 更新頑張って下さい! (2019年5月20日 17時) (携帯から) (レス) id: 66cf0ac4ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:PIKA | 作成日時:2019年5月19日 20時