ＰＲＯＬＯＧＵＥ ページ2
しくじった
そう気づいた頃にはもう手遅れで、込み上げてくるモノを吐き出せば手元が赤く染まる
「なんともまぁ、質の悪いやり口でっ……ぅｯ」
生まれつき霊力量が多く、キャパオーバーを起こした身体は重度の虚弱体質へ
お陰様で度々発熱しては寝込む為、霊力の抑制剤を服用しなければならないのだが
どうやら私はその抑制剤に毒を盛られたみたいだ
「すまんのう、見習いについての報告なんじゃが、ちっくとええじゃろうか」
そんな中、審神者部屋の襖越しに近侍に話し掛けられ
毒を盛られ吐血した惨めな姿を見せるのかと思うと形容しがたい感情に襲われる
近侍であり、始まりの一振りでもある彼にこんな姿は見せたくない
実の親以上に、誰よりも長い時間を共にしたからこそ
虚弱体質のせいで幾度となく迷惑は掛け、精神的にも未熟で情けない姿だって晒してきたからこそ
だからこそ
「？……すまんが入るぜよ？」
抑制剤の副作用で倦怠感と頭痛に見舞われ、基本的に自室からは出られなかった
そのせいで刀剣男子である彼がしなくてもいい仕事だってさせてしまった
だからこそ、自身の最期なんてこの上なく惨めな姿だけは晒したくない
そうは思っても実行出来るだけの余力は残っておらず
襖が開かれると同時に再び込み上げてくるモノを吐き出し、いよいよ力の入らなくなった体が傾く
「っ！？お、おんしゃあっ、しっかりせえ！！」
だが寸でのところで抱きとめられ、少しぼやける視界で焦りと心配を含めた表情の彼と目が合う
こんな姿なんて見て欲しくないのに、何故彼を見ると安心してしまうのだろうか
私のせいで汚れてしまった袖に縋りたくなるのは何故だろうか
矛盾した気持ちを抱えながら悶々としていると、次第に強い眠気がやってくる
それを感じ取ったのか一層焦り出した彼に優しく抱きかかえられた
「いまっ、今医務室に連れてくきにっ、ちくと辛抱してくれｯ、絶対助けたるから……！！」
何時だって太陽の様な笑みを絶やさなかった彼がこんなにも焦る姿は初めて見たな
そう他人事の様に思いながら
最後の力を振り絞って襖を出る直前に彼の袖を引けば、驚いた様に立ち止まる
そんな彼へただ一言、声を掛けた
「私の最期を看取るのはｯ、陸奥守だけで十分だよ……」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキー刀剣男子
小烏丸
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橄欖石／peridot(プロフ) - 夢さん» アカウントログイン出来たので遅れながらも更新再開していきます✨コメントありがとうございます！ (3月7日 22時) (
レス) id: c2d71d3250 (このIDを非表示/違反報告)
夢(プロフ) - めっちゃ面白いです✨思わず一気に読みました(笑)更新大変だと思うんですけど、頑張ってください！ (10月15日 11時) (レス) @page26 id: 7270de2e7f (このIDを非表示/違反報告)
橄欖石／peridot(プロフ) - 灰かぶりさん» っは……！！気を付けてた筈なのにミスってました……！？誤字の報告ありがとうございます！応援も励みになりました！これからも更新頑張らせて頂きますね✨ (10月3日 13時) (レス) id: c2d71d3250 (このIDを非表示/違反報告)
灰かぶり(プロフ) - これからの展開を楽しみにしております。修正等大変かもしれませんが、刀剣男子ではなく、刀剣男士では無いでしょうか？とても面白い作品で一気に読みました！これからも応援してます！ (10月3日 11時) (レス) @page7 id: 54c03ac678 (このIDを非表示/違反報告)
橄欖石／peridot(プロフ) - あの、先に言っておくと後々キャラ的にメインになるのはとうらぶの方です。オチもとうらぶの方です。因みにＰＲＯＬＯＧＵＥには軽い仕掛けをしたので気付いた方がいましたら是非にご報告を…… (10月1日 22時) (レス) id: c2d71d3250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橄欖石／peridot | 作成日時：2023年9月21日 7時
