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智洋side
それから2日後
この前の彼女が俺の病室を尋ねてきた
「これ…」
「手紙?」
「うん、この前のことママに話したらママがありがとうのお手紙書いたら言うて…だから……」
「ありがとう!」
手紙というものを始めてもらった
その場で読んでみると覚えたての拙い平仮名で『ありがとう』と書いてあった
「Aちゃんって言うんや名前」
「うん…小瀧A…」
「俺は神山智洋、5歳!」
「私も…5歳!」
やっと彼女の明るい声が聞こえて嬉しかった
それからAちゃんはこれから産まれる弟のこと
家族のこと、保育園のこと
たくさんの事を教えてくれた
彼女と話すのはとても楽しくてそれから彼女がおとんとおかんのお見舞いに来た日には必ず俺の病室に寄ってくれた
それから少し経ってAちゃんはオカンと俺の病室に来た
「見て、神ちゃん!」
もうAちゃん、神ちゃんと呼び合う仲になっていた
彼女のオカンの腕の中には小さな赤ちゃんがいた
「弟、一昨日産まれたの!」
「わぁ…かわい……」
初めて見る赤ちゃんだった
よく眠っている男の子
特別に抱っこさせて貰った
暖かくて重みがあって初めて感じた命の重みだった
「名前な、私が決めてん!」
「なんて言うん?」
「望!!」
「いい名前やな〜」
小瀧望
なんかかっこいい名前やな
名前だけでモテそうや
そんなことを考えていたなんて誰にも言えない
弟が産まれて病院に来る回数も減った彼女だったけど
月に2、3回は来てくれてそれだけでも本当に嬉しかった
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作者名:raf. | 作成日時:2017年11月16日 21時