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流星side
入学してすぐ退屈な授業中、校庭の体育を眺めていると
一際輝いている彼女を見つけた
決して運動が飛び抜けて出来ているわけでもなく、必死にサッカーのリフティングの練習をしている姿に惚れた
生まれて初めて一目惚れというものをした
でもその娘にはその時から既に彼氏がいた
成績優秀でクラスの人気者
何事にも一生懸命でなんせダンスが上手いという少し奇抜なあいつ
でも俺は何故だかあいつから彼女を奪える
勝手にそう思っていた
でもふたりの絆は思ったより深く、彼女を諦めようと思っていた矢先
あいつが学校へ来なくなった
ラッキーと思っていたら突然あいつからメールが届いた
『今日俺の家に来てくれないか。話したいことがある』
なんのことかと思い無視しようかと思ったけど
彼女じゃなくて俺に言ってくるのにはなにか理由があるんじゃないかと思い行くことにした
((ピンポ-ン
家からすぐ出てきたのは前よりも少し痩せた神山
「どうぞ」という声は普通だったが確かに窶れていた
「ごめんな、こんな所まで呼んで」
「いや…」
「単刀直入に言うと…
“Aを頼みます”」
「…へ?」
驚きすぎて変な声が出た
「俺、この間なA振ったんや」
何故だか少しスッキリとした笑顔で笑う
「お前…それでええんか?」
「ああ、ええんや」
いつもの神山の笑顔じゃない
でもその理由を聞こうとは思わなかった
いや、聞くことが出来なかったのかもしれない
だって今にも泣きそうな目で俺のことを見つめてくるから
「俺な、神山と同じ病気の父親がおってん___」
そんな目を見て俺は勝手に語り始めていた
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作者名:raf. | 作成日時:2017年11月16日 21時