推し事と我が身の危険は紙一重【dcst】

本格治療オタク ページ26

そこで千空は私に指示を出して、P-アセトアミドベンゼンクロロスルホン酸アミドを塩酸で煮た料理を火から上げるように言った。私はそれに従って、火を消し、それを冷ます。


科学王国の面々も寄ってきて、千空が重曹入りの筒に漏斗を刺したものを持ってきた。私はその漏斗にそれを注ぎ入れる。


そうすれば、それはスルファニルアミドとなる。つまるところ、その別名は。


「万能薬サルファ剤の、完成だ……！」


──ああ、半年か。本当に長かった！


皆が沸き立つ。コハクなんかは半泣きになって千空に茶化されていた。いや、よかった、本当によかった。ああそうだ、ルリの病状について千空に伝えないと。


「千空、ルリを診察してきたよ。で、問診と検診の結果として──彼女は肺炎だ」
「結核の可能性は？」
「薄いね。話をきちんと聞いたところ幼少から患っていたらしいし、病状が重くなったのはここ数年。症状としては発熱、咳、痰、軽度の呼吸困難、倦怠感。胸痛は時々。極度に痩せているふうではない。食欲も普通。血痰かと思ってよくよく聞いたら、咳のしすぎで喉の奥が切れちゃってたみたいでね」


にしてもペンライトが欲しいところだ。扁桃腺の様子をきちんと見られなくて惜しい。あと紙。皮に書くカルテなんて不便極まりない。


「薬の副作用についてもきちんと説明して了承頂いてきたのでね！」
「ククク、やるじゃねえか医者！そうと気まりゃ、さっさとルリに薬飲ませに行くぞ！」
「いえーい治療〜〜！！」

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