ゝ・伍 ページ20
病院にて。真希にも子供たちにも異常はなかったらしい。
「ありがとね、憂太」
「え?」
「君が頑張ってくれたから、真希も子供らも無事で済んだんだよ。胸張れ!」
相変わらず丸まっている憂太の背中をべしんと叩けば、「いた!」と声と共に背筋が一瞬伸ばされる。でも一瞬だった。憂太の背中はまた丸くなった。
「何かスッキリしない顔だね」
「……初めて、時分から里香ちゃんを呼びました」
憂太は左手を見た。その薬指には、シンプルな指輪が嵌っていた。
「そっか。一歩前進だね」
憂太は悟を見なかった。ただ指輪を見つめながら、「少し思い出したんです」と呟く。
憂太と里香は子供の頃に、結婚の約束をしたのだと。子供の可愛らしい約束は、しかし、呪いになったのかもしれない。ずーっと、ずーっと、一緒だなんて。
「里香ちゃんが僕に呪いをかけたんじゃなくて、僕が里香ちゃんに呪いをかけたのかもしれません」
「……これは持論だけどね、愛ほど歪んだ呪いはないよ」
悟は静かにそう言った。包帯に隠れた目が、誰を見ているのか私は知っている。狐みたいな笑顔をした、悟と同じぐらい背の高い、私の家族を滅ぼした男。私と悟の、大切なともだち。
友愛も、また愛だ。彼らはきっと、お互いに呪われている。
「いいじゃん、愛は呪いでも」
だから私はそう言った。憂太は隣に座る私を、立ったままの悟は私の旋毛を見下ろした。
「愛し合っているのなら、きっとその呪いは、世界でいちばん美しいよ」
私は、誰を思ったかだなんて。そんなものは、明白だ。誰よりも愛し合って、そのまま散っていった二人を、私は知っているし誇りに思っている。
悟もきっと、同じ人を思い出したのだろう。彼は黙って私の頭を撫で繰り回した。
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雛(プロフ) - ひゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!さいこう!!!すき!!!続きぃぃぃぃ!!! (2021年9月25日 2時) (レス) @page42 id: 6c5f13dd95 (このIDを非表示/違反報告)
シナト(プロフ) - 面白かったです!!もうストーリーが好きすぎます!!! (2021年4月4日 0時) (レス) id: 8c8daaf9e0 (このIDを非表示/違反報告)
7-10(プロフ) - わぱー!!!あっもう、はぁーーーーーん!!!すきです!!!!!!!情緒が反復横跳び!!!!!!!!!!!! (2021年3月3日 10時) (レス) id: ffef8138f8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - 63:927393さん» 続編です!!!ありがとうございます!!!!私もコメント励みになります好きです!!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - 鈴さん» 喜んでいただけて何よりです!!!ありがとうございます!! (2021年2月27日 14時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
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