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ゝ・伍 ページ38

きっ、とタイヤが地面に摺れて、私たちの体が軽く前後に揺れる。ようやくイヤホンを抜いた補助監督が、呑気な声で「着きました」と言った。


私はぽんぽん、と傑の肩を叩いて車を降りた。そんなに長い乗車時間じゃなかったが、それでも狭い車内よりは外の方がいい。


ぐん、と背筋を伸ばして首を回す私に、降車した傑が寄ってきた。


「君は?」
「私?私も大概頭おかしいよ」
「それは、どうして」
「そりゃ君、あの実家だよ?情操教育失敗してるに決まってるでしょう」


からりと笑うと、微妙な顔を返された。


「本当に実家が嫌いなんだね」
「うん、大っ嫌い」


傑はそうか、と呟いた。


「あとさあ、悟が最強になって皆がバラバラにうんたらとか言ってたけど」
「ああ、うん」
「私は傑も硝子も悟も、まだまだ全然大好きだよ。私が大人になったら、四人でお酒とか飲みたいなあ」


傑は黙って、私の頭をくしゃりと撫でた。そしてやっぱり優しい手で背中を押して、歩くようにと促した。


私はそれに従って、やっぱり黙って歩き始めた。


「……凄くくだらないこと聞いてもいいかい?」
「なあに?」
「悟と私、どっちが好き?」
「傑のが優しいから傑かなあ」


本当に変な質問だな。私が首を捻りながらも、(前世の推し程度も加味して)割と即答すると、傑は存外嬉しげにふふ、と笑った。


「悟が聞いたら嫉妬するね」


……いやあ、そんなことないだろ。イケメンのボンボンの最強だぞ。そんなことで嫉妬とかしないよ。……多分。

晩夏はきっと別れの季節・壱→←ゝ・肆



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ニノ崎(プロフ) - めっちゃ面白いです,,,好みドストライクです!これからも応援しております。後,伍話目の美美美ー美・美ー美美ってまさか某マルハーゲ帝国()のパロですか() (2021年3月2日 18時) (レス) id: 159ece0998 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - みもなるーと。さん» 丁寧なご感想たいへん嬉しいです、ありがとうございます!燕は扇一の自立に必要な犠牲だったのでちょっと……ね……これから扇一夢主、ガンガン男前に磨きがかかって参りますので何卒お楽しみ頂ければ幸いです! (2021年2月26日 19時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - なんだかクソデカ感情を向けてしまった(?)夢主に恋してしまうかと思ってしまいましたね… 最近は天候が崩れやすいのでお体に気をつけて無理せず頑張ったくださいチュチュ… (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - な、なんだこの小説は今まで生きてきた私へのご褒美かご褒美なのか。夢主のどこか達観した想像力などに惹かれました。燕さん私の推しだったのに食べちゃいましたね…やはり愛とは、呪いなのかしらと再認識できた気がします。素晴らしい小説をありがとうございます。 (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - 43yomi1さん» ありがとうございます〜〜!!!更新頑張ります!! (2021年2月26日 16時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱるさん | 作者ホームページ:なしv  
作成日時:2021年2月25日 0時

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