ゝ･肆 ページ4
無言で戦慄する私に淡々と着物を着せながら、お姉さんは話し続ける。
「『輝夜姫の詛』とは、そういうものです。人より凡そ三倍早く成長し、人より五倍遅く老いるのです。その代わりお前の体には、およそ常人を凌駕する呪力が備わっています。それに術式『劫腔』も」
えっすげえ、リアルかぐや姫じゃん。なるほど俄には信じ難いけども、現に私一晩で十一歳から十三歳レベルに成長してる訳だからなあ。
黒い着物に赤い帯を締め、丸い金色の飾りが着いた帯締めを締められると、しゃんと背筋が伸ばされる。
着物など普段着ることもなかったのでさぞかし苦しいだろうと身構えていたものの、どうやらこのAちゃん(よんさい)、毎日こうして着物を着せられていたようで、体の方はとっくに慣れていた。
脳みそと体の乖離に若干の違和感がなくもないが、慣れずに苦しいまま過ごすより百倍いいので考えないことにした。
お姉さんは着物がきちんと着せられていることを確認すると、ふと悲しそうに眉尻を下げ、ふわりと私を抱き締めた。
えっなになになに、オワ〜お姉さんいい匂いする。私の混乱を知ってか知らずか、お姉さんはぽん、ぽん、と私の背を撫でる。
「……お前を支障なく家から送り出すには、こんな方法しか無かったの。不甲斐ないお母様でごめんね、A。お前は何も悪くないのにね……」
えェ！？お母さんだったの！？若！！20代そこらじゃんお母さん下手したら前世の私の方が老けて見えるよ。あそうか私四歳だった。
私はしばらくどうしていいか迷って、そっとお姉さん、もといお母さんの背に腕を回した。なんとなくもう会えないような気がしたのだった。お母さんは私の腕の下で一瞬小さく身を強ばらせて、やがて私の肩に額を埋めると微かに鼻を啜った。
四年しか一緒にいないんだって考えたら、そりゃ泣きたくもなるはずだ。今度は私が彼女の背を撫でる番だった。その日は暑い夏の日で、蝉がよく鳴いていたのが、妙に耳に残った。
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ニノ崎(プロフ) - めっちゃ面白いです，，，好みドストライクです！これからも応援しております。後，伍話目の美美美ー美・美ー美美ってまさか某マルハーゲ帝国()のパロですか() (2021年3月2日 18時) (
レス) id: 159ece0998 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - みもなるーと。さん» 丁寧なご感想たいへん嬉しいです、ありがとうございます！燕は扇一の自立に必要な犠牲だったのでちょっと……ね……これから扇一夢主、ガンガン男前に磨きがかかって参りますので何卒お楽しみ頂ければ幸いです！ (2021年2月26日 19時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - なんだかクソデカ感情を向けてしまった（？）夢主に恋してしまうかと思ってしまいましたね… 最近は天候が崩れやすいのでお体に気をつけて無理せず頑張ったくださいチュチュ… (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - な、なんだこの小説は今まで生きてきた私へのご褒美かご褒美なのか。夢主のどこか達観した想像力などに惹かれました。燕さん私の推しだったのに食べちゃいましたね…やはり愛とは、呪いなのかしらと再認識できた気がします。素晴らしい小説をありがとうございます。 (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - 43yomi1さん» ありがとうございます〜〜！！！更新頑張ります！！ (2021年2月26日 16時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
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